「トコトコ」がどんなおもちゃか、知っていますか?
知らない方のために、私が製作した「トコトコ」をYoutubeに公開してありますので、まずはその動画を御覧になってみてください。
何の動力もないのに、斜面を一生懸命歩くこんな「トコトコ」の動きに、子ども達はきっと魅了されるでしょう。
こんな「トコトコ」を自分で作ってみようと調べてみた結果、ネット上にも書籍の中にも公開されている型紙はあるものの、”作り方の秘訣”についての情報はほとんどありませんでした。
そこで、この記事では、私が実際に作ってみて解った「トコトコを動かす秘訣」をお伝えしていきます。
公開されている型紙で作れば、そのトコトコが歩き出すことはある程度保証されているでしょう。
ただ、型紙では、自分の作りたいオリジナルの形のトコトコは作れません。
同時に、工夫しながら自分だけのオリジナルの形の「トコトコ」が歩くようになったとしたら、きっと大きな達成感も味わえるでしょう。
この記事では、そんな自分だけのオリジナルの「トコトコ」を作ってみたい方に向け、トコトコが止まらずに動く秘訣をお伝えしていきます。
トコトコは、比較的小さなものです。
特別に大きな木材や特殊な工具を使わなくても出来る作品なので、木工初心者の方でも取り扱いやすい作品だと思います。
一方、「トコトコ」は他の木工作品とは違い、形が出来ても歩き出すまでに必ず調整が必要になります。
私が作ってみて感想では、「トコトコが動くように作るのは「簡単ではない」ということです。
でも、諦めずに根気強く調整を続ければ、木工初心者の方でも必ず動く「トコトコ」を完成させられます。
私も制作をして行く中で、「トコトコ」が動く秘訣が解って来ると、動き出すまでの時間がどんどん短かくなっていきました。
ぜひ、最後まで御覧になって、自分だけのオリジナルの「トコトコ」作りに挑戦してみてください。
トコトコの製作が他の木工製作と違う点
自分でオリジナルの「トコトコ」完成させていく作業は、一般的な木工製作とは、かなり違う面があります。
先ほど、「トコトコ」の製作について、木工初心者でも取り組みやすいとお話ししましたが、その点を最初にお話ししておきます。
詳細な設計図は不要
普通の木工作業は、最初に設計図に寸法や形を書き込み、加工作業はそれを元に進めて完成していきます。
でもトコトコの製作では、全体の大きさを決める必要はありますが、その大きさが多少違ってしまっても何の問題もありません。
細かい箇所は作りながら全体のバランスを見て、その都度修正しながら加工を進めて行く方が、スムーズに進んでいきます。
完成後に調整が必要
完成したトコトコが、何も調整をしないままスロープを歩き出すことは、ほとんどないと言っていいでしょう。
形が完成した後に、下記の動き出すための条件を満たすように、調整をしていく必要があることは当初から想定しておいてください。
「トコトコ」が斜面を歩く条件
形が出来上がった「トコトコ」が動かなかった場合、動くように調整しようとしても、「トコトコが斜面を歩く条件」を理解していないと適確な調整は出来ません。
「トコトコ」が歩かなかったり、途中で止まってしまうのは、歩くための条件の何かが満たされていないからです。
調整/修正作業は、それらのどの条件が足りないかを見つけ、その箇所を修正することになります。
その意味で、「トコトコ」が斜面を歩く条件を理解することは、「動くトコトコ」を作る秘訣の最初の一歩と言えます。
適切な角度を持つスロープが必要
トコトコは、モーターのような動力源はありません。
「トコトコ」が動く条件の第一は、適度な角度のスロープ(斜面)が必要です。
スロープの角度が急過ぎると、「トコトコ」は前に倒れてしまい、斜面の角度が少ないと動きません。
「トコトコ」がやっかいな点は、出来上がった「トコトコ」をスロープを歩かせてみないとその「トコトコ」がどんな動きをするのか、分からない点です。
全く動こうとしない場合も、動こうとする気配があるものもあります。
そのため、最初の調整が必要になるのは、形になったトコトコが動き出す最適な斜面の角度を見付けることです。
歩き出す適切な角度の見付け方
まず、片側に適当な端材を積み重ね、厚さ5mm程度の合板で角度の小さなスロープを作り歩かせてみます。
歩き出しそうなら、その斜面の角度のまままで、最上部から最下部まで止まらずに歩くようにトコトコの調整をしていきます。
ここで留意することは、複数のトコトコを作った場合、その1つ1つの「トコトコ」の歩き出す適切な角度が違うという点です。
かと言って、複数のトコトコを作った場合に1つ1つ違う角度を持つスロープを用意することは、作る側も遊ぶ側にも面倒なことです。
そこで私は2つの角度を持つスロープに集約し、1台の専用のスロープで複数の「トコトコ」が動くように調整しました。
2つの角度とは、支える台座を縦と横にすることで、スロープの傾斜が急なものと穏やかなものとに変え、1台のスロープで複数のトコトコが動くように調整して行きました。
【台座を縦にした場合(傾斜が急なもの)】
<クリックで拡大>
【台座を横にした場合(傾か斜が穏やかなもの)】
<クリックで拡大>
Youtubeの動画で私の作った6個のトコトコは、上記の2つの違う傾斜角度を持つスロープの上を動かしています。
角度が低いスロープ:ひよこ
角度が高いスロープ:にわとり・にわとりの親子・うさぎの親子(紙)・うさぎの親子(木)・どんぐりを運ぶリス
「トコトコ」の足がスロープ上を滑らないこと
「トコトコ」の足がスロープの上を滑ってしまうと「トコトコ」はそこで止まってしまいます。
「トコトコ」が歩く時、前足と後ろ足交互に重心が移動した時、重心が掛かる側の軸足は、1本でしっかりと接地面を踏ん張っている必要があるからです。
滑ってしまうと1本足で立てず、後ろ足が着地して止まってしまいます。
このことから、トコトコが歩くスロープの斜面は、サンドペーパーでツルツルに仕上げることは避けてください。
塗装も不要です。
スロープの板材として適当なのは、厚さ3mm〜5mm程度の表面がざらついた合板をお勧めします。
前方に重心が掛かるように作る
スロープの上に置いただけでは、「トコトコ」は動き出しません。
動き出すには、「トコトコ」の前後どちらか一歩に重心が移動していることが必要です。
下記の2つの方法のどちらかを試すと、動き出します。
トコトコが動き出す2つのポイント
・指先で後方のしっぽの辺りをつまんで押し上げ、前足だけで立つようにして、指先を離す
(押し上げた時、重心は前に移動しています)
・指先で後方のしっぽの辺りを押し下げ、後ろ足だけで立つようにして指先を離す
(押し下げた時、重心は後ろに移動しています)
【シッポ側を押し下げている状態】
<クリックで拡大>
このことは、「トコトコ」が動き出すには、本体の重心が前方側に掛かって止まっていないと動き出さないということです。
もし、「トコトコ」の重心が後方にあると、本体を大きく押し下げて離しても、本体は大きく後方に傾くだけで、前には傾かずに止まったままです。
もちろん、重心が前方に掛かり過ぎていると(前方が重い状態)、指が離れると、トコトコは前に倒れてしまいます。
このことから、次の章の前後の重心のバランスが重要だと言うことが解って来ます。
トコトコ本体の前後の重心が適切なこと
「トコトコ」の動く仕組みを端的に言うと、斜面によって重心が前方と後方にスムーズに移動を繰り返すことで、両足が交互に1本で支えながら全体が動いて行くということです。
その前後の重心のバランスを適切な状態になっていない限り、「トコトコ」は止まらずにスロープを下降して行くことはありません。
ここで、トコトコの前後の重心のバランスを取るためのポイントを理解するために、もう少し「トコトコ」の動きを詳細に押さえておきましょう。
トコトコが動くメカニズム
どんな形の「トコトコ」も、足は2本足で、前足は固定されています。
後ろ足だけが動く仕組みになっています。
「トコトコ」の動きは、下記の1〜11の動きを繰り返しながら、スロープ上を下降して行きます。
*指先で後部を押し下げてスタートした場合
この時、重心は後ろに移動し、後ろ足1本だけで移動した重心を支えます。
前足は空中に浮きあがります。
尚、「トコトコ」は斜面の上に立っているため、後ろ足1本で最後部に重心が移動するまで支え続け、決して後ろに倒れることはありません。
【スタート】
<クリックで拡大>
【重心が前に移動して動き出した状態】
<クリックで拡大>
【歩き出した状態】
<クリックで拡大>
7.重心が最前面に移動するまでは、「トコトコ」は前に倒れずに軸足である前足1本が本体を支えます。
8.重心が最前部に行き着くと、今度は重心は後ろに移動を開始し、前足の後ろに移動した後ろ足が斜面に着地します。
9.後方に移動した重心の動きで、前足は浮き上がって行き、前足は空中に浮いて行きます。
10.再後部に行き着いた重心は、今度は前方に移動を始め、本体が前に傾き出し、空中にある前足は、以前着地した地点よりも前方に移動し、後ろ足が最大に開く位置で斜面に着地します。
【後ろの足が軸になり前足が着地した状態】
<クリックで拡大>
11.重心はさらに前方に移動し、前足を軸にして本体は前に傾き、再び後ろ足が浮き上がっていきます。
前後の重心の移動がスムーズに行なえること
「トコトコ」が動く条件の最後は、調整された前後の重心が、足の動きと共にスムーズに前後に移動を繰り返すことです。
具体的な調整箇所は、両足の接地面です。
両足の接地面がスムーズに重心を移動させる形状に修正出来れば、止まっていた「トコトコ」は歩き出します。
前後の重心のバランスの調整と同様、両足の接地面の形状の調整はとても重要です。
以上の条件を満たすと、「トコトコ」はスロープを途中で止まらずに最後まで歩いていきます。
トコトコの作り方の秘訣
止まらずに歩く「トコトコ」の作り方の秘訣は、ズバリ!「トコトコ」の調整の仕方にあります。
形が出来上がった後、そのままでは歩かない「トコトコ」の何処に着眼してして歩くように調整をして行くかがキーになります。
そのために、まず本体に重心の調整が出来る構造を作っておく必要があります。
トコトコの基本は3層構造
【ひよこの三層構造】
<クリックで拡大>
3層構造にした理由
1.中央の板材に、前後の重心を調整する箇所と後ろ足の可動部を設けられる
2.左右から挟み込む板材の板厚があることで、、ダボを使った仮固定が可能になる。
3.ダボを使って、3層の板材の組み上げと解体が何度でも出来るため、中央の板材に設けた重心の調整箇所へアクセスが可能になる
4.中央の板材は、完成時には両側から羽根や胴体部分になる板材を挟み込めば見えなくなるので、スッキリした外観になる。
5.後ろ足の可動部は、両側から2枚の板材で挟み込まれるので、後ろ足の直進する動きが安定する。
6.左右の板材の板厚があることで、後ろ足の軸になる丸棒を貫通させずに(外からは見えないように)ある程度深く差し込めるため、接着強度が高まる
【ひよこのトコトコの加工が終わった全パーツ】
【クリックで拡大】
【加工が終わった中央部の板材の構造】
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今までダボを使ったことのない木工初心者の方は、別の記事でダボ使用方法を詳細に紹介していますので、そちらの記事も参考にしてください。
3層構造の弱点
ただ、上記の3層構造で作ると避けられない問題があることが解ってきました。
それは、板材の厚みで「トコトコ」の横幅が広がってしまう点です。
前後の重心の調整のために、両側の板材の着脱が出来るようにダボを使うため、ダボを支える板厚として3層構造にする板材の厚みは、最低でもそれぞれ10mmの板厚が必要になります。
作ろうとする「トコトコ」の形によっては、横の厚みが広がりすぎると全体のバランスがしっくりこない場合があります。
私の作った「トコトコ」の中でその違和感を感じたのは「うさぎの親子」を作っている時です。
うさぎには中央に18mmの板材を使ったので、うさぎの形状からするとそれ以上の厚みは必要ないと感じました。
そこで、中央の板材を挟み込む左右の板材は、厚さ5mmのシナ合板を使い、これ以上うさぎの横幅が広がらないようにしました。
【うさぎのトコトコの断面】
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ただ、板厚5mmの板材ではダボを使って着脱することは出来なくなり、トコトコ本体に前後の重心を調整する仕組みを作ることは出来なくなりました。
もう1つの問題は、中央の後ろ足の軸になる丸棒をしかっりと支えるだけの板厚がなくなったことです。
そのため、片側には丸棒の埋め込んだ跡が見えてしまいます。
【後ろ足の軸が外側に見えている状態】
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結果的にこのうさぎの親子は、足の軸が外側から見えてしまっても、「トコトコ」本体の外観は、スッキリしたものになったと思います。
2種類の前後の重心を調整出来る仕組み
「前後の重心のバランスが適切な状態になる」ように重心のバランスを調整する仕組みには、2つの方法があります。
前方と後方を可動式にして調整する方法
前方の頭の部分と、後方のしっぽの部分をダボで可動式にして制作する方法です。
頭としっぽの角度を調整するだけなので、簡単に前後のバランスが調整出来るメリットがあります。
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頭とシッポの任意の箇所にダボを貫通して差し込んであります。
この後、中央のダボが貫通して組みこまれた頭・中央の後ろ足の可動部・シッポの3つの各部材は、両側から羽になる板材で挟み込まれ、この部分は見えなくなります。
ダボで頭とシッポの位置を動かすことで前後の重心のバランスの調整が可能になります。
【前後が可動式の中央部とそれを隠す羽の部材】
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後方の重心だけを調整をする方法
前方の頭の部分は固定されたままで、後ろのシッポ付近で粘土を使うか、シッポを可動式にしてその向きで重心を調整する方法です。
後ろの重心だけに集中して調整出来るメリットがありますが、粘土を使う場合は、手間が掛かります。i
製作例
<粘土で後ろの重心を調整>
ひよこ・うさぎの親子
<後ろのシッポを可動式にて調整>
雄鶏
ひよこの場合は、中央の本体の後部に直径35mmの貫通穴を開けておき、そこに油粘土を足したり減らすことで、前後の重心のバランスを調整して行きます。
ウサギの親子の場合には、本体の後部の貫通穴の粘土だけがでは後ろの重心足りず、後部の上に箱を設け、そこに粘土を足して行く方法で後ろへの荷重を補いましました。
箱だけだと味気ないので、箱と本体をバネで繋ぎ、両側から子ウサギを挟み込み、背中に乗って、トコトコが動に応じて子ウサギが動くようにしました。
【後部の重心調整用の小箱と子ウサギ】
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雄鶏の場合には、後ろのシッポだけをダボで可動式にして、そのしっぽを上下に調整出来るようにしてあります。
【後ろだけを可動式にした雄鶏の構造】
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ここまでは、「トコトコ」を作る前に知っておいたほうがいい予備知識のお話しでした。
次の章からは、「トコトコ」の実際の製作作業手順と動くようになるための修正方法の秘訣をお話ししていきます。
トコトコの製作に必要な資材と工具
必要な資材
【トコトコ本体】
*本体並びにスロープの板の材質、寸法等は、参考まで
・木材:針葉樹系の杉板・パイン材等(板厚10mm〜18mm程度)
縦横の大きさは任意(縦横100㎜前後のサイズが標準的)
2種類の違う木材を使うことで、色にバリエーションが生まれる
製作例:ひよこ・にわとり・りす
・シナ合板(板厚5mm)
製作例:うさぎの親子(木)の外側と子うさぎと挟む箱
*箱の中には粘土を入れ、全体のバランスを調整
・ダボ(直径6mm)
・丸棒(直径5mm)(3枚の板の連結や後ろ足の軸として使用)
・プラダン (厚さ3mm)
製作例:背中に乗ったうさぎの子うさぎと挟む箱
*箱の中には粘土を入れ、全体のバランスを調整
・油粘土(後部の重り用として)
*バネ(子どもを乗せて動かす場合)
0.3mm (径)x 3mm(外径) x 12mm(長さ)
【スロープ用】
スロープ:合板:厚さ3mm x 幅90 x 長さ470mm
両サイド仕切り:檜等集成材:厚さ8mm x 幅250mm x 長さ940mm
スロープ台:2バイ4材:厚さ38mm x 幅70mm x 長さ95mm
必要な工具
・トリマー(スロープの溝加工用)
・3mmトリマー用ビット(スロープの溝加工用)
・3mmストレートビット用トリマー治具
・ジグソー(ブレードは仕上げ用の細目がお勧め)
・のこぎり
・ボール盤(電動ドライバーとドリルスタンド)
・5mm・6mm径の穴あけ用ビット
・ダボ穴用マーキングポンチ(6mm用)
・穴あけガイド用ポンチ
・木工用ボンド
・サンドペーパー(#80・#120・#240)
塗料
・蜜ろう(他の塗装方法でも可)
・乾いたウエス2枚
板材に無垢材(広葉樹)を使うことのお勧め
「トコトコ」は、通常作る木工作品より、はるかに少ない材料で製作出来ます。
一般的なホームセンターで入手可能なパイン材や杉材のような針葉樹ではなく、少し高級な広葉樹を使うのもお勧めです。
タモ・チーク・ナラ・桜・ホワイトオーク・・etc.
難点は、値段が針葉樹のパイン材や杉材に比べると高いことと、硬いので加工が少し大変なことが挙げられます。
もう1つ大きな難点は、ほとんどの一般のホームセンターには置いていないため、入手が難しい点です。
また、専門店等で入手しようとしても、テーブル板ような厚みのある大きなサイズになってしまいます。
このように、手に入りにくい無垢材は、下記のサイトなら、多くの種類の無垢材を好きなサイズを指定して入手することが出来ます。
小物を作る場合には、必要なサイズが小さいため、値段も安くなり、併せて広葉樹の無垢材が持つ自然な色味や木目が出て来るので木工DIYをする私達にはお勧めのお店です。
一度覗いてみて下さい。
制作手順
作りたい「トコトコ」の絵の素材を入手する
最初にどんなトコトコを作るかと、そのだいたいの大きさを決めます。
自分で絵が描ける方は、自分で作る「トコトコ」の大きさを想定しながら紙に描いていってください。
私は絵が苦手なので、著作権フリーのイラストが豊富に掲載されいて無料でダウンロード出来る「イラストAC」から入手しました。
メールアドレス・名前(本名でなくニックネームでも可)パスワードの登録等をすれば、すぐに気に入ったイラストのダウンロードが可能になります。
ただ、無料の会員だと1日にダウンロード出来る回数や検索回数に制限がありますので、何を作るのかを決めてから検索することをお勧めします。
絵の大きさを下絵に使える大きさに修正する
通常、ダウンロードしたイラスト等の素材は、A4の用紙に打ち出すと思いますが、そのままのサイズだと大きすぎる場合があると思います。
画像のサイズ変更は、何らかのグラフィックソフトが必要ですが、私は「inkscape」という無料のグラフィックソフトを使っています。
Windows版もMACもあります。
サイズの変更もそうですが、絵の反転も簡単に出来ます。
製作したのウサギの親子の場合、子ウサギを小箱の両側から挟み込むので、子ウサギの向きを左右反転させた絵を用意する必要がありましたが、inkscapeでは、そんな加工もワンクリックで出来ます。
【子ウサギの向きを左右反転でせたイラスト】
<クリックで拡大>
【入手したイラストを縮小加工したもの】
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重心の調整方法を決める
次に、これから作る「トコトコ」の形から、以前お話した「2種類の前後の重心を調整出来る仕組み」のどちらの仕組みを持つ「トコトコ」を作るかを決めて行きます。
2種類の重心を調整出来る仕組みの難易度
この2種類を製作してみた私の実感は、前後の頭とシッポの両方を可動式にして調整する方法が、最も簡単な方法だと(調整に手間取らない)感じました。
初めて作る方には、前後の重心がそれぞれ調整出来る仕組みの「トコトコ」を最初に作ることをお勧めします。
その後、後部だけで調整する「トコトコ」に挑戦してそれが完成出来たら、どんな形の「トコトコ」も制作出来ると自信が出来るはずです。
前足の形状を決める
「トコトコ」の前足は、固定されたものですが、前足を本体の一部として作って行く方法と、後ろ足の形状と同じ(足の甲を別々に作る)にするかの2種類の方法があります。
【前足が本体と一体化している例(うさぎ)】
*前足の長さは、未調整の状態
<クリックで拡大>
【前足と後ろ足が同じ形状の例(ひよこと鶏】
<クリックで拡大>
前足の形状の違いによる調整時の難易度
前足が本体と一体化しているものを作る場合、大きなメリットはデザイン的にスッキリしたものになる点です。
一方、重心の調整をする観点からすると、前足が本体と一体化したものより、後ろ足と同じ形状の方が、調整の難易度がかなり低くなります。
これは、前足の調整方法で、スロープに当たる接地面の曲面を削って行きますが、前足が本体と一体化していると、接地面が狭くなって調整出来る範囲が狭まってしまうからです。
前足が後ろ足と同様な形状だと接地面が広くなるので、接地面の安定感と調整出来る幅が広がることでで「トコトコ」の動きに与える影響が大きくなると感じました。
最初に「トコトコ」を作る時は、両足が同じ形状のものを作ることをお勧めします。
各部品に使う板材を決める
3層構造に使用する3枚の板材に、それぞれどんな板材を使うかを決めておきます。
3枚の板材の組み合わせとしては、下記の3種類のものが想定されます。
1.3枚とも同じ板材を使い、全体に統一感のある雰囲気にする
2.中央の板材と挟み込む板材を別の板材にしてコントラストを付ける
3.上記2で使った部品の板材を逆の組み合わせで使う
私は、上記1.から3の全ての組み合わせをしてみました。
上記3種類のうち、2.と3の色味が違う白色系のパイン材と茶系の強い杉材を使うと、全体の色調のコントラストがある雰囲気になったと思います。
一方リスの場合には、全体的に茶系の色味を強く出したかったので、全ての板材に杉材を選びました。
板材に絵を写し取る
「トコトコ」を作う板材に、イラストを切り抜き、外周部分と目の位置等の概略を鉛筆でなぞって写し取って行きます。
【前後を可動式にする場合】
<クリックで拡大>
前後の頭とシッポを可動式にする場合には、中央の板材は、前の頭、中央部、後ろのシッポの部分の3つの部品にイラストをイラストを切り離して中央の板材に写し取って行きます。
曲線を切り抜く時には、デザイン用カッターがあると曲面など、より綺麗に切り抜けます。
胴体や羽の部分は、両側から挟み込む部品になるので、別の板材に墨線を描いて行きます。
リスの場合には、両手で持たせるどんぐりも、切り離し、別の板材に描いておきました。
【後ろで重心を調整する場合】
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板材をジグソーで切り抜いて行く
3枚の板材に絵のシルエットが描かれたら、その墨線に沿ってジグソーで各板材を切り取って行きます。
使用するブレードを「仕上げ用」にしておくと、切り口が綺麗に切断でき、切り出した後のサンディングの手間が少なくなります。
この時、作ろうとするトコトコに応じて、本体以外の部品も切り出しておきます。
製作例:子うさぎ・ひよこの形・子ウサギを挟む箱・リスのどんぐり等
【ジグソーでの切断】
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ここでの留意点は、切断する板材はしっかりとクランプで固定し、ジグソーのベースプレートを、持ち手と反対の手の指先で押し当て、ジグソーの姿勢を安定させることです。
ジグソーの姿勢が安定することで、ブレードが切口に直角になり、切断面の直角が保たれ作業が出来ます。
木工の初心者の方でジグソーを使い慣れていない方は、別の記事でジグソーの使い方の秘訣を紹介しています。
詳細は下記の記事をご覧になって下さい。
まだ、ジグソーをまだお持ちになっていない方は、静音に配慮したお勧めのジグソーを下記の記事で紹介しています。
そちらもも参考にしてみてください。
ジグソーの切断が完了したら、切断面を#80程度サンドペーパーでバリを取っておきます。
曲面をサンディングする時には、トイレットペーパーの芯や丸棒を芯にすると隅々まで綺麗にサンディングが出来ます。
【丸棒を芯にしたサンディング】
<クリックで拡大>
後ろ足と前足の作り方
前後の足の製作は、加工はそれほど難しいものではありませんが、足がスムーズに動くために、若干の注意点があります。
後ろ足の甲の部分の切り出し
足の甲の形状は前足も後ろ足も同じなので、板厚10mm程度の板材で同じサイズのもの(縦横30mm程度)を2つのこぎりで切り出します。
このような小さな部材の切り出しはのこぎりを使用し、2x4材のような板厚のある端材を墨線上に当て木にすると、のこぎりの直角と直進性が確保出来ます。
使用するのこぎりは、替え刃式の細めのものをお勧めします。
【当て木をしたのこぎりの切断】
<クリックで拡大>
足の甲の加工
スロープに接地する側の足裏の箇所の前後を斜めに切り落としておきます。
【足裏の接地面の前後を切り落とす】
<クリックで拡大>
これは、「トコトコ」の形が出来上がり、スロ ープ上を歩かせながら、重心を調整していく時、足の接地面をさらに曲面に調整していく必要があるための準備です。
最終的には、足の接地面はサンドペーパーでサンディングし、もっと滑らかにしていきます。
【完成した状態の足の接地面】
前足と後ろ足の製作
足を製作する上での留意点は、下記3点です。
足の横幅は10㎜前後で、「トコトコ」本体とのバランスで決めればいいでしょう。
ただし、その板厚は、中央になる板材に合わせる必要があります。
厳密に言うと、板厚とぴったり同じだと挟み込む板材とに摩擦で足がスムーズに動かない可能性があるので、中央の板厚より若干薄くなる程度がベストです。
足の板厚が薄くなり過ぎると、挟み込む板材との間に隙間が生じ、後ろ足の前後の動きが不安定になってしまいます。
前章の「トコトコ」が斜面を歩く条件」の中で触れたように、「トコトコ」は、形が出来上がった時点で重心が前方に掛かっている状態にないと、歩き出すことはありません。
足の製作時には、可動する後ろ足は、若干前足よりも短くしておくと後々の調整が楽になります。
【前足と後ろ足の長さの差】
<クリックで拡大>
このことで、本体の重心は前に傾き、絶えず重心は前足側に掛かるようになります。
前足も後ろ足も「トコトコ」の大切な箇所です。
両足の接着は、より強度を持たせるため、直径6mmのダボを使用します。
ダボを差し込む足の甲の厚さからすると、私の所持しているダボの長さはそのまま使うと少し長すぎたので、半分の長さに切断してから使用しました。
木工初心者の方は、くれぐれも何の加工もしないまま2つの面にボンドを塗布して接着する「イモつぎ」だけは卒業してください。
「イモつぎ」は最も強度の低い接着方法です。
この箇所のように、接着強度を高めるためにダボを使用する場合には、必ずダボと同じ直径の穴あけ用ビットを使用して下さい。
ダボと同じ径の穴は、ダボがきつ目に入り接着力を高めます。
穴あけ位置は、板幅の中央に墨線を引き、前足は中央より後ろ寄りに、後ろ足は中央より前側にしておいてください。
また、所定の穴あけ位置には、必ずポンチで目印を付けておいてください。
尚、今回のような穴あけには一般的な電動ドライバーやインパクトドライバーではなく、ボール盤かドリルスタンを必ず使うことをお勧めします。
電動ドライバー等は、きちんとした直角を保証した穴あけは難しいからです。
穴が斜めに開けられると、足に対して甲は斜めに傾いてしまいます。
また、ボール盤でもドリルスタンドでも、貫通させない穴の深さを正確にストッパーで調整出来ることも大きなメリットです。
この後、何度か穴あけ作業が出てきますので、正確な穴あけ作業をするために、ボール盤かドリルスタンドを使用することをお勧めします。
【甲の部分の穴あけ】
<クリックで拡大>
【足の部分の穴あけ】
<クリックで拡大>
【ボール盤 深さ調整ストッパー】
<クリックで拡大>
穴あけが完了した箇所は、木工用ボンドを塗布した上で、ダボを差し込み、接着します。
木工用ボンドがはみ出した箇所は、必ず濡れたウエスで拭き取っておいてください。
後ろ足の可動部の加工
私がいくつかの「トコトコ」の製作をしてみて気付いたのは、後ろ足の位置は、本体の中央の前後のバランスが取れる位置より、少しだけ後ろにある方がいいようです。
その理由は、この取り付け位置にすることで、前方への重心の配置が出来るからだと推測出来ます。
トコトコ本体の中央になる板材を、低めの端材の上に乗せ、前後のバランスが取れる位置から少しづつ本体を後ろにずらしながら、前方に傾く位置を探して下さい。
その位置に後ろ足の中央が来るように、後ろ足の可動部の扇型の墨線を引きます。
可動部の上部は後ろ足の軸が来るので、狭くても大丈夫です。
その軸に通し後ろ足が動く範囲は、その「トコトコ」本体の大きさによって、任意のもので構いません。
あまり狭くても広すぎても、歩く時に支障が出ますので、先に作ってある後ろ足を添えながら、バランスをみながら決めて行ってください。
後ろ足の可動部を切り取る
後ろ足の頂上の箇所は、25㎜のファスナービットで貫通穴を開けておきます。
その後、記の手順で後ろ足の可動部の墨線上ををジグソーで切り抜いていきます。
【ファスナービットで開けられた貫通穴に向けてジグソーで切断】
<クリックで拡大>
【後ろ足可動部の切断の完了】
<クリックで拡大>
前足の加工
後ろ足と同じ形の前足を作る場合、前足の甲の部分だけをダボで本体に接着させて行きます。
別途、足の部分を作る必要はありません。
前足の甲の部分と本体の前足を取り付ける位置もダボと同じ径の穴あけをしてください。
その後、木工用ボンドで接着していきます。
後ろ足の軸の製作
後ろ足を動かすための軸は、直径5mm前後の丸棒を両側から挟み込む板材のどちらか一方に取り付けます。
中央の後ろ足の可動部を切り抜いた部分に、外側から挟み込む板材を下に固定した上で、穴を開ける位置にポンチで目印をした上で貫通しない穴を開けて行きます。
【外側から挟み込む板材への後ろ足の軸の穴開け】
<クリックで拡大>
穴を貫通させない場合
・挟み込む板材の板厚が10mm以上の場合
穴を貫通させてもいい場合
・板厚が5mm以下の場合
その後丸棒に木工ボンドを塗布して、開けた穴に接着します。
後ろ足に丸棒の軸を通す穴を開ける
固定された丸棒の軸に、後ろ足を通すための穴を開けていきます。
【後ろ足の軸に通す穴あけ】
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この後ろ足の軸に通すための穴の直径は、軸の丸棒の直径プラス1mmにしてください。
私の場合、軸には5mmの丸棒を使ったので、直径6mmの穴を開けました。
その理由は、後ろ足が抵抗なくスムーズに動くように隙間を作るためです。
「動く木のおもちゃ作り」の穴開けの際に、開ける穴の径に留意する必要があることは、別の記事でも触れています。
まだ御覧になっていない方がいたら、そちらも参考にしてみて下さい。
3枚の板材をダボで仮固定する
両足の加工が済むと、「トコトコ」本体全体を仮組み出来る状態になります。
基本的な加工が終わった3枚の板材を仮組みするため、任意の位置にダボを入れる穴を開けて行きます。
ダボは直径6mmのものを使用し、開ける穴の直径も6mmで開けていきます。
ダボと同じ径で開けることで、「トコトコ」は仮組みの状態でもかなり強度で接着されるため、前後に歩く衝撃によって、組み上げたトコトコがバラバラになることがありません。
ダボ用の穴あけ加工は、下記のように、貫通させる板材と貫通させない板材とに分ける必要があります。
・貫通させない板材・・左右の板材(ダボの加工が完成時には見えないようするため)
【中央部と左右の板材を仮固定するボ穴用センターポンチ】
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上記の画像のひよこの中央の板材のダボ用センターポンチが入った箇所の穴は貫通させます。
画像の上に映っている羽の板材に付いたダボ用ポンチの目印の開ける穴は貫通させない穴を開けていきます。
画像にはありませんが、もう1枚の羽になる部品にも、同じようにダボ用センターポンチを当て、目印を付けた箇所に貫通しない穴を開けていきます。
その後、中央の板材に開けられた2ヶ所の貫通穴にダボを押し込むと、左右からダボが飛び出します。
飛び出したダボには羽に開けられたダボ穴に板材が押し込まれ、着脱可能な仮組みの状態になります。
目をドリルで開ける
目の開ける位置や、穴の直径はご自分の判断で結構です。
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彫刻が得意な方は、掘って形を作っていく方法でも結構です。
以上で「トコトコ」本体の加工は終了です。
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背中に乗った子ウサギ等に使うバネ
トコトコの動きに応じて、親の上に乗った子ウサギやひよこが揺れる仕組みに、少し触れておきます。
バネは色々試してみましたが、下記のものが、最も動きに良く反応し、揺れが大きくなりました。
線径がその上の0.5mmになると、バネが硬くなり、揺れの反応度合いは、0.3mmの方が大きく揺れます。
0.3mm (径)x 3mm(外径) x 12mm(長さ)
本体と重心の調整に使う粘土を入れる小箱の底に、直径3mmの穴を開け、そこにバネを通します。
通すだけだと動いているうちに位置がずれる可能性があるので、バネを差し込んだ箇所に「木工用エポキシパテ」を充填しました。
最終的に重心のバランスの調整が済んだ時点で箱の上は閉じて木工用ボンドで接着します。
【重心の調整中の段階の小箱】
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【調整の済んだ小箱の完成型】
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トコトコの前後の重心を調整する秘訣
「トコトコ」の重心の調整の仕方は、「前方と後方を可動式」にした場合と「後方の重心だけを調整をする方法」にした場合とで違って来ます。
前方と後方を可動式にした場合
この方法で作成した場合の調整方法は、とてもシンプルです。
頭で調整する場合:
重心が前に行き過ぎている場合には、上に上げる
後ろに行き過ぎていた場合には、下げる
しっぽで調整する場合:
重心が前に行き過ぎていた場合には、下に下げる
後ろに行き過ぎていた場合には上げる
頭としっぽの角度は、その動物の全体を見た時に自然な角度になることにも配慮をする必要があります。
頭としっぽの角度の変化で重心がどう変化するか、何度もスロープを歩かせながら調整して行きます。
スロープを最後まで止まらずに動く頭とシッポの位置が決まったら、頭としっぽの位置に鉛筆で墨線を引き、一度ばらし、最終的に墨線の位置に合わせて木工用ボンドで接着します。
後方の重心だけを調整をする方法
この方法では、最初にバランンスの調整を始めるスタート位置を決めます。
スタート位置は、重心が前にある状態がベストです。
これは、重心が前方にあることを明確にした上で調整に入るためです。
下記画像は、後ろの重心だけを調整する仕組みの「トコトコ」を初めて作った時その調整方法を探っていた時の「うさぎ」を例に説明をします。
当初はうさぎの後部に貫通穴を入れる構造のものを作り始めました。
【後方に粘土を入れる構造の穴】
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ただ、そこに粘度を目一杯入れても、重心は前に傾いていました。
そこで、本体の内部で重心の調整をすることを諦め、試験的に後方に重心を増やすため、うさぎ本体の後方に芯が細い”隠し釘”を刺し込み、そこに粘土を付けて行きました。
【隠し釘を打った状態】
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【粘土の調整始めた段階】
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この前方に倒れる状態から、少しずつ付ける粘土の量を増やして行きました。
尚、粘土の量は、かなり少な目でも重心に影響を与えます。
画像で示したぐらいの量を目安にして、少しづつ増やして行ってください。
【粘土を増やす量の目安】
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【前後のバランスが取れた状態(停止した状態)】
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停止た状態ですが、ようやく前後のバランスが合って来ました。
その後、先ほどの画像のような量で粘度を増やしていくと、ようやく歩き出しました。
【バランスが取れて動き出した状態】
試験的な段階ですが、うさぎが止まらずに歩くようになったこの粘土の量を、この後、最終の完成型になる小箱に中に収めて行くときの目安にすることが出来ました。
足がスロープの斜面を滑ってしまう時の対策
「トコトコ」が止まってしまう原因の1つに、スロープ面に足が滑っている状態があります。
ただ、見た目の問題もあるため、スロープの面に合板の綺麗な面を使用すると「トコトコ」の両足が滑ってしまうことがあります。
その原因を取り除くために、滑る方の足、または両足の足の接地面に#80程度の荒目のサンド―ペーパーを接着しておくだけで滑らなくなり、歩き出します。
【両足にサンドペーパーを付けた状態】
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両足の接地面の調整
前後の重心のバランスを適正になっただけでは、「トコトコ」は最後まで歩いてくれないことがあります。
適正な前後の重心が取れていても、前後の重心がスムーズに移動していない場合です。
その原因は、両足の接地面の形状が、重心がスムーズに動くことを邪魔しているからです。
「トコトコ」がスロープを歩く時の、前足と後ろ足の接地面を注意深く観察してみて下さい。
どちらか一方の足がスロープに接地して、離れるまでの箇所があるはずです。
その足の接地面の形状が滑らかになるよう、サンドペーパーで調整してください。
その面が滑らかに調整されたことで、「トコトコ」の本体は、スムーズに前後に揺れ始め、重心の移動がスムーズに動き出し歩き出します。
【両足の修正箇所】
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スロープの作り方
「トコトコ」が歩くスロープ面は、合板を左右から檜材に合板のを挟み込む溝を、板厚の3mmのストレートビットをトリマーに取り付けて加工し、木工用ボンドで接着しました。
【トリマービット3mmの治具を使った溝加工】
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まだトリマーを使ったことのない、木工初心者の方は、別の記事でトリマーの基本的な使い方を紹介しています。
興味のある方は、参考にしてみて下さい。
画像にある治具を使えば、木工用初心者の方でも、すぐにその日から真っすぐな溝を掘ることが出来ます。
もし、色々な多様な加工が出来るトリマーに興味を持ったのなら、私がお勧めのトリマーを下記の記事で紹介していますので、
そちらも参考にしてみてください。
蜜ろうワックスの塗装について
今回、初めて木の塗装に蜜ろうワックスを使ってみました。
【蜜蝋ワックス】
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「木のおもちゃ」は、原則子ども達が遊ぶものなので、天然素材をベースにした蜜ろうは、子ども用玩具に塗る塗料として安心して使用出来る塗料と言えます、
昔から、蜜ろうは、積み木やその他の木製玩具に使われて来たという伝統もあります。
塗る前の下地処理
塗装する前に、いつものように、完成した「トコトコ」の各部品をサンドペーパーで#80 (#60) → #120 → #240 と番手を上げて木の表面を仕上げておきます。
各番手のサンディングが終わった時点では、必ず濡れたウエスで拭き取ります。
濡れたウエスでサンディング面を拭き取る理由
・サンディングで出た木くずを取り去る
・サンディングしたことで発生した木の表面の毛羽立ちを目立たせる
木の表面が毛羽立ちが見えて来た箇所は、再度同じ番手でサンディングをして行きます。
そして、再度濡れたウエスで拭き取ります。
表面の毛羽立ちが目立たなくなったら、次の番手に移ります。
蜜ろうワックスを塗るメリット
・安全性が高い
・完成後、木の木目や色味が際立って来る
・塗装に必要な道具は、乾いたウエスが2枚だけ
(1枚が蜜ろうワックスを付け、もう1枚は、伸ばしていくためのもの)
・何度もワックスを塗る必要がない
一度ワックス塗った後、1時間ほど乾かした後に余分な油分を拭き取って仕上げて行ます。
【蜜ろうを塗る前と塗り終わった状態(左側)】
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*匂いが気になるという情報もありましたが、私はそれほど気になりませんでした。
蜜ろうワックスを塗ったウエスの処分方法
使用したウエスは、高温で発火する危険があるため、水に濡らし、ビニール袋に入れて処分する。
まとめ
「トコトコ」は、一般的な木工作業とはかなり違います。
形が完成しても、歩き出すまでの修正作業が必要です。
ただ、諦めずにトコトコが動き出してた時の喜びは、他の木工作業にはないものです。
この記事を書いたのも、皆さんとそんな「トコトコ」が動いた時の喜びを少しでも共有したいからです。
何か、不明な点があれば遠慮なくコメント欄で質問を頂けたらと思います。
最初の1台が成功したら、違う形の2台目にも挑戦してみてください。
きっと2台目が歩くようになるまでの時間は短縮しているはずです。
子ども達も、複数の「トコトコ」があると喜びも倍増します。
この記事が書き終わったことで、別の記事の「ピンボール」と同様、もう一人いる娘の孫に完成した「トコトコ」を送る予定です。
動き出すまで苦労しただけに、手放すのは少し惜し気がしますが、喜ぶ孫の姿を見ればきっとそんな気持ちは消し飛ぶことでしょう。
以上