ほぞ加工治具の自作と使い方|トリマーで正確なほぞが作れる治具

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ほぞ加工の特徴

ほぞ加工は、釘やネジを使わない木材の加工方法として知られているものですが、同時にとても難易度の高い加工だという印象を持っていませんか?

この記事を読んでいる方の中には、「いつかそんな高い技術が必要とされるほぞ加工が出来るようになりたい!」そう思っている方も多いでしょう。

いつかは自分も・・そうは思っても、使い慣れている電動ドライバーでネジ止めすれば、ほとんどの木工の接合作業は効率的にに仕上げていけます。

ただ、作り上げて行く作品が増えて来ると、その用途によっては、かなりしっかりとした接合強度が必要なものが出て来ます。

その典型的なものに、椅子や踏み台です。

椅子の座面や背もたれ、踏み台の場合は支える部材等を接合して行く時、ネジ止めした場合よりほぞ加工が出来れば、はるかにしっかりとした作品が作れます。

皆さんも、このほぞ加工を自分のものにして、ここぞという時に、ほぞ加工が出来るようになって、ご自分の作品の幅をどんどん広げていって下さい。

 

そんなこと言われても、ノミやノコギリを職人のように

正確に使いこなせるには何年も掛かってしまうのでは?

大丈夫です!

精度の高いほぞ加工をするには、下記の2つのことをするだけです。

1.使う工具は電動トリマーだけ

2.この記事で紹介する自作の治具を使うこと

この記事を読むことで、加工の難易度が高いと思われているほぞ加工も、トリマーと自作の治具を完成させれば、木工DIYの初心者の方でも精度の高いほぞ加工が出来るようになります。

この治具は、トリマーに10mmのストレートビットを取り付けで加工をして逝きます。

10mmのストレートビットは、トリマーを購入した時に同梱されて来る6mmのストレートビットに比較し、操作音も静かで、切れ味も良いため、初心者にも扱いやすいビットです。

難しい加工と言われているほぞ加工は、名前は誰にでも知られているものの、実際にはどんな加工なのか、あまり知られていない加工方法です。

まず、最初にほぞ加工とはどんなものなのか、その特徴をしっかりと押さえた上で、精度が必要とされるほぞ加工を失敗しない秘訣をお話をして行きましょう。

 

1.ネジや釘で加工したものより、しっかりとした強度が得られる

 

2.ネジや釘を使わないので、見た目がすっきりしている

 

3.ほぞとほぞ穴の加工には、隙間のない精度の高い加工が要求される

 

4.ネジや釘の接合より手間(時間)が掛かる

 

ほぞ加工と一口に言っても、歴史のあるほぞ加工には多くの種類があります。

図のように、ほぞ加工は2つの加工が必要になります。

1つは、オス側になる板材を削って押し込む側のほぞを作って行く加工です。

もう1つは、そのほぞ部分を受けるメス側のほぞ穴の加工です。

それぞれがボリュームのある内容なので、2つの記事に分けてお話を進めて行きます。

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この記事では、上記の図のように、右側の胴付きという削られた部分が周囲に4ヶ所ある四方胴付加工のオス側の「ほぞ」部分の加工方法について話を進めていきます。

もう1つ別の記事で、ほぞがピッタリと収まるメス側の「ほぞ穴」を作る秘訣を紹介していきます。

これら2つの記事を併せて読むことで、オス側の「ほぞ」とメス側の「ほぞ穴」の加工方法を知り、隙間のない強度の高いほぞ加工を自分のものにしていって下さい。

尚、ほぞにぴったりのほぞ穴を加工するための治具は、別の下記記事で紹介しています。

そちらの記事も、この記事とセットで読んでみてください。

 

ほぞ穴加工治具の自作と使い方|トリマーで正確なほぞ穴が作れる治具
別の記事「ホゾ加工用治具」で紹介した治具でホゾを作り、この記事を併せて読んで頂くと、ホゾにぴったりのホゾ穴が木工DIYの初心者でも、長年の修行をしたプロの職人のようなホゾ加工が出来るようになります。

 

ほぞの各部の名称

ほぞには、下記のような名称が付けられています。

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この記事で取り上げる「四方胴付ほぞ」の名称は、ほぞ部分の胴付き部分がぐるりと1周回って削られて4つ存在することから来ています。

胴付部分が2つのものは、「二方胴付ほぞ」、3つのものは「三方胴付ほぞ」になります。

四方胴付のやり方をマスターすれば、二方胴付ほぞも三方胴付ほぞも同じ要領で作ることが出来ます。

また、今回紹介するほぞ穴は貫通しない穴を加工しますが、椅子の加工でよく見かけるほぞが反対側に見える「通しほぞ」加工は、ほぞ穴を貫通させたものです。

今回紹介するほぞ加工は、他のほぞ加工にも応用出来る基本的なものなのです。

この加工をマスターした時点で、あなたの加工の幅は、あっと言う間にか大きく広がっています。

ほぞ加工を成功させる3つのポイント

難易度が高いと思われているほぞ加工ですが、その加工を成功させるポイントは、下記の3点です。

1.オスのほぞの厚さ・幅・長さとメス側のほぞ穴と一致していること

一致していると言っても、設計図上のサイズと同じという意味ではありません。

ゆるくもなく、きつくもなく、少し力を入れて押し込むと、ぴったりと収まるといった感覚的なものです。

2.ほぞの胴の箇所の4面が全て表面の木端面と直角になっていること

ほぞの胴の面が木端面に直角でないと、押し込んだ部材が斜めになってしまいます。

3.ほぞの胴の4面全てが、均一に加工されていること

胴の部分を加工した面に段差があると、そこに隙間が出来てしまいます。

ほぞ加工治具の仕組み

この記事で紹介する自作治具は、「ほぞ加工を成功させる3つのポイント」で説明した3点を全てサポートしている治具です。

1.オスのほぞの厚さ・幅・長さとメス側のほぞ穴と一致していること

このことを実現する機能は、メス側のほぞ穴用治具が担当します。

ここではその仕組みだけをお話ししておきます。

このほぞ穴治具あ、別の記事「トリマー用大入れ継ぎ治具の自作」で紹介した治具と同じ仕組みを持つものです。

大入れ継ぎもほぞも、どちらもオス側とメス側がゆるくもなく、きつくもない程度に組み上がることが成功の秘訣です。

こんな加工を実現するには、正確な設計図上の寸法の墨線を引くことでも、墨線通りに切断することでもありません。

失敗しないほぞ加工の秘訣は「現物合わせ」で加工していくことです。

先ほどの「大入れ継ぎ用治具」の仕組みは、押し込む材を現物合わせで固定する治具です。

押し込む側の板材を治具に挟み込み、ゆるくもきつくもない隙間を見つけ、治具を固定して行きます。

その固定された治具の空間をトリマーで溝を掘ることで、失敗のない大入れ治具の加工が出来ます。

この記事で紹介するほぞ加工治具も、その大入れ継ぎ治具と同様のものです。

極端に言えば、オス側のほぞの寸法が多少設計図とは違った場合でも、全く問題ありません。

ほぞ穴用治具は、現物合わせでほぞの寸法を写し取って行くので、ほぞの厚さ・幅・長さとメス側のほぞ穴とピッタリのものが実現出来ます。

 

2.ほぞの胴付面が全て加工する板材の木端面と直角になっていること

 

下記は、加工したほぞ部分と加工した板材の木端面が直角になっている状態を示しています。

もしこの箇所の直角がきちんと確保されていないと、ほぞ側の板材と受ける板材に隙間が出来てしまいます。

 

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下記は、これから作り方を説明していく「ほぞ加工治具」で加工するセッティングした状態の画像です。

 

【ほぞ加工治具の名称】

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治具を製作する時、作業台に固定する治具のベース部分とトリマーのガイドフェンスは、正確な直角になっていることをスコヤで確認した上でネジで固定していきます。

【トリマーのガイドフェンスの組み立て】

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加工される板材は、治具のベースプレートに隙間なく押し付けられた状態でクランプで固定され、トリマーによって前方に向けて板材が加工されると板材の切断面の直角は保証されます。

 

3.ほぞの胴の4面全てが、均一に加工されていること

治具の各部の名称の画像の中に、板材を右側から支えるほぞ長さセット棒がこの機能を受け持ちます。

【ほぞ長さセット棒】

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この治具は、角棒の両端の木端面に、それぞれ直径8mmのダボを接着した単純なものです。

作りは単純ですが、この治具の役割は意外に大きなものです。

この治具のセッティングは、まず治具の左側のトリマーのガイドベースに板材に引かれたほぞの長さの墨線に合わせて加工する板材をクランプで固定します。

次に、右側からこの「ほぞ長さセット棒を」治具のベース部分と、板材の先端の双方に隙間なく密着させてクランプで固定します。

トリマーによるほぞ加工は、最初の加工面が終わった後、加工する板材の向きを変えながら合計4面を加工して行きます。

その際、このほぞ長さセット棒を一度クランプで固定しておけば、他の面を回転させてダボに密着させれば、加工する面の4面全て同じ深さが確保されといった役目をします。

ほぞ加工用治具の設計図

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必要な工具

・トリマー

・10mm ストレートビット

・電動ドライバー

・スコヤ

・長さ30mm コースレッド 4本

・長さ15㎜の皿ネジ 12本

・両面テープ

 

必要な部材

・治具のベース部:

(2 x 4材)35mm x 120mm x 280mm  1枚

・左右のトリマーガイドフェンス部:

(パイン材)18mm x 80mm x 300mm  2枚

・トリマー治具ベース部:

(シナ合板)5.5mm x 130mm x 140mm  2枚

・ほぞ長さセット棒:

(角材)30mm x 40mm x 140mm  1本

*角材の太さと長さは、目安なので、多少の前後があっても可

・直径8mm、長さ30mm〜40mmのダボ:2本

 

ほぞ加工用治具の製作手順

ベース部の製作手順

 

クライムカット(逆切り)をする空間を削る設計について

ほぞの加工のほとんどの場合、木の木目(繊維)方向に対して、直角にトリマーで削り取って行く作業になります。

この加工をトリマーで手前から向こう側に動かく通常の加工をすると、その出口付近で多くの場合に欠けが発生します。

その欠けを防止するためには、加工する板材の出口付近でクライムカット(逆切りをする必要があります。

ほぞ加工をした跡は、ほぞ穴の中に隠れてしまうため、見た目には分かりませんが、欠ける面積が大きくなると強度不足の要因になるので、必ずクライムカットをすることをお勧めします。

まだ、クライムカットの必要性の記事を読んでいない方は、別の記事「トリマーで加工する溝加工の2種類」の中の「溝の加工の出口で発生する欠けの防止策」で詳細に説明していますので、そちらの記事を参照してみてください。

 

この治具の設計図では、中央にほぞ加工で必要なクライムカットをするための空間(25mm x 36mm)を設けています。

ただ、この空間は必ずしも必要ではありません。

この空間を作るために、他の記事で紹介した「トリマーで、途中から始まり途中で終わる正確な溝が掘れる自作治具」を使います。

この記事を読んでいる方の中には、その治具をまだお持ちでない方もいるでしょう。

クライムカットの空間を設けない場合は、トリマーを治具のベース部の中に押し込み、治具のベース部を削り取りながらクライムカットを進めて貰えれば問題ありません。

クライムカットの空間がなくても何度かその加工を繰り返すことで、自然にトリマーの左側のガイドプレートの前の周辺部分には設計図上の寸法に近いクライムカットをした加工の跡の空間が出来てきます。

クライムカットの空間を設けない方は、次の手順は読み飛ばして下さい。

 

クライムカットの空間の作成手順

・治具のベース部になる35mm X 120mm x 280mm の板材の厚さ35mm を上に長さ280mmが横になるようにしてクランプで固定します。

・ベース部左から

120mmの位置に25mm x 36mmのクライムカットの空間を削る墨線を引きます。

・治具のベース部を作業台にクランプで固定した上で、墨線に合わせてトリマー用ストッパーのノブとトリマーの進む位置に墨線を合わせ、クランプで固定します。

 

【トリマー用ストッパー】

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尚、正確にトリマーの溝を途中で始め、途中で終わるトリマー用ストッパー治具については、別の記事で詳細にその作り方と使い方を説明しています。

興味のある方は参考にしてみて下さい。

 

トリマーで、途中から始まり途中で終わる正確な溝が掘れる自作治具
トリマーで、正確な位置から途中で始まり、正確な位置で終わる溝を加工することは、とても難易度の高い加工です。トリマー歴が30年近くなる私が、それを実現するストッパー付きのトリマーガイドを自作し、作り方の詳細を解りやすく説明しています。

 

・トリマーで掘り込む空間の深さは15mm程度です。

いつもより、ビットの突き出し量が多いので、取り付け位置を突き出し量を測りながら固定して下さい。

一度に掘り進めるにはビットに負担を掛けてしまう量なので、3回に分け、一度に掘り進める量は5mm程度にしてください。

分割加工治具を敷いて掘り進めてもいいし、毎回ビットの突き出し量を増やしていっても結構です。

墨線を引いた所定の位置に所定の深さで空間が削り取られたら、クライムカットの空間の加工は終了です。

では、以降から、クライムカットの空間の製作以外治具の製作手順について、お話を進めて行きます。

 

1.ベース部にトリマーのガイドフェンスを固定

治具のベース部の上に、幅80mm、長さ300mmのトリマーの左側ガイドフェンスを直角に固定して行きます。

ベース部の左端とトリマーガイドの左端はピッタリと合わせて下さい。

2.ガイドフェンスとベース部分の直角を確かめる

トリマーのガイドフェンスとベース部の直角の位置合わせをしやすいようにに予め両面テープ―を貼っておきます。

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だいたいの直角の目安でクランプで固定します。

ネジを2本止める位置に片側に下穴を開け、電動ドライバーで30mmのコースレッドのネジ1本で仮止めをします。

 

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ネジを1本止めただけでは、まだガイドフェンスは動きます。

この状態でスコヤを当て、ベースプレートと治具のベース部が正確に直角になる位置を確認して下さい。

【直角の確認と微調整】

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直角を確認出来た位置で再度クランプで固定し、電動ドライバで下穴を開けた箇所に2本目のネジ止めをしていきます。

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ネジ止めが終わってから、再度スコヤで直角が保たれているかの確認をして下さい。

もし、直角がずれていた場合は、2本目のネジ止めを再度やり直してください。

前項の「ほぞ加工を成功させる3つのポイント」で説明したように、トリマーのガイドフェンスと治具のベース部が直角になっていることが、この治具の最も重要なポイントになります。

 

3.左側のガイドフェンスを固定する

この治具は、トリマーを左側のガイドフェンスから離し、上下左右に動かしながらほぞの長さ全体を削って行く治具です。

もし、左側だけにしかベースプレートがないと、右側に動かせば動かすほど、トリマーのベースプレートは右側に傾いてしまいます。

それを補うために、この治具は右側に補助用のベースプレートを設けています。

役割が、トリマーのベースプレートを支えることなので、右治具のベース部の直角の精度は、左側よりも厳密でなくても大丈夫です。

一応、スコヤでベース部との直角を確認し、2ヶ所にネジで固定して下さい。

 

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4.左右のトリマーガイドベースの固定

 

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トリマーのガイドフェンスの裏側から、それぞれ4カ所にセンターポンチでネジ止めをする箇所に目印して、ネジで固定して行きます。

この固定の際、治具の左側トリマーのガイドべースは、固定後、通常のトリマー用治具と同様に、ガイドフェンスに沿ってトリマーで切り取って行くため、幅が右側より10mm長い130mmにしてあります。

治具を裏にして、130mmの幅の広い板材を、右側に設置した上で固定して下さい。

固定する左右のトリマーのベースガイドが逆にならないように注意して下さい。

4.左側のトリマーのベースプレートの切断

左右のトリマーのベースプレートの固定が完了したら、治具全体をクランプ2本で作業台に固定します。

切り落とすベースプレートのシナ合板の厚さは5.5mmです。

トリマービットへの負担を軽減するため、3mmの分割加工治具を左右のベースプレートの上に敷きます。

 

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トリマーの電源ケーブルを抜いた状態で、トリマーに10mmのストレートビットを取り付け、突き出し量を6mm程度にしてから電源ケーブルを挿し込みます。

左右に置いた分割加工治具にトリマーのベースプレートがしっかりと乗っていることと、ビットがベースプレートに触れていないことを確認し、トリガーのスイッチを入れます。

ゆっくりとトリマーを左側のガイドフェンスに押し当てながら前進させて行きます。

クライムカット用の空間を開けている方は、ベースガイドの端を通過した時に作業音が変わります。

トリマーを動かさず、そのままトリガーを切って下さい。

クライムカット用の空間を開けていない方は、トリマを治具のベース部分まで押し込み、トリマーのベースプレートの端が切断した箇所が見えたら、トリマーを動かさず、トリガーを切って下さい。

【1回目の加工が終了した状態】

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続けて分割加工治具を外し、2回目の加工を開始します。

この2回の加工で出来た治具のベース部の加工跡は不揃いです。

今後、何回かほぞ加工をしながらクライムカットをして行くと、徐々に加工跡の空間が広がり、結果的に、クライムカットの空間が出来て来ます。

治具のベース部の加工跡は、そのままにしておいて結構です。

手順は、1回目と同様ですが、クライムカットの空間を設けていない方は、1回目と同様、治具のベース部分の中までトリマーを真っすぐ押し込んで切断を完了させて下さい。

尚、治具の右側のトリマーのベースプレートはトリマーの姿勢を安定させる補助的なものなので、切り落とす必要はありません。

以上で、治具本体は完成です。

次に、治具本体を補助する「ほぞ長さセット棒」の製作手順を説明して行きます。

ほぞ長さセット棒の製作手順

 

両の木端面にダボ用の穴を開ける

所定の長さに切り出した角材の木端面の両端にダボをはめ込む穴を開けて行きます。

片側は、隣り合う木口から、それぞれ14mmの位置に1つ。

反対側の木端面には、隣り合う木口からそれぞれ10mmの位置に開けて下さい。

ダボの突き出る長さは、20mm程度あった方が安定するので、穴の深さは15mm〜20mm程度になります。

穴の垂直と深さに留意して、穴の位置をセンターポンチで開け、ドライバースタンドやストッパーを使いながら加工を進めて下さい。

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ダボの固定する位置を角材の中央にしない理由は、下記2点です。

1.色々な板厚の板材にほぞ加工をする場合があるため

【ほぞの幅に合う加工時のダボの位置】

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角材の両側に違う位置にダボを設けているのも、色々な板厚に対応出来るようにするためです。

2.トリマーのほぞの幅(深さ)が最も深く掘られた時、その下あるダボが削られない位置であること

【ほぞの最終の加工が終わったダボの位置】

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特に2は、加工を急ぐあまり、誤ってダボを削り取ってしまう可能性があります。

そんな時のために、ダボは角材にボンドで接着せずにはめ込むだけにしておいて下さい。

ダボの交換が可能になります。

もし、押し込んだダボに隙間が出来てしまう場合には、紙等でダボを巻けばきつくなります。

以上で、「ほぞ加工治具」の全てが完成しました。

ほぞ加工治具の使い方

加工する板材と治具のセッティング

1.治具を作業台にクランプ2本で固定する

クランプは、トリマーのガイドフェンスに掛けるので、トリマーの動きを邪魔しない位置になっていることに留意して下さい。

2.ほぞ加工をする板材の木口面に、1本墨線を引く

設計図上で決めたほぞの長さの寸法を加工する板材に墨線を1本引きます。

何本もほぞ加工をする場合でも、墨線は加工する板材1本に付き、1本で済みます。

もし、同じほぞの長さであれば、最初の1本だけで済んでしまいます。

それは最初の1本目で、右側に「ほぞ長さセット棒」がクランプで固定されるからです。

尚、ほぞ加工のような時の精度の高い墨線の引き方については、別の記事「木工DIYの精度を決める墨線の引き方」を参照してみてください。

1mmの狂いもなく墨線を引く秘訣を紹介しています。

3.左側のベースプレートに墨線を合わせる

1.で引いた墨線を、治具の左側のトリマーのベースプレートの端にぴったり合わせ、クランプで固定します。

左側のベースプレートは、通常のトリマーガイド同様トリマーのベースガイドに沿わせて切り離したものです。

トリマーを左側のベースプレートに沿わせて動かせば、必ずベースプレートの端から板材の右側が、ビットの直径の幅で加工されて行きます。

しかも、その断面はトリマーが傾かない限り、ほぞ加工の必要条件である直角に切断されて行きます。

4.ほぞ長さセット棒の先端のダボで、加工する板材を固定する

ほぞ長さセット棒の先端のダボを左側で固定されている板材のの木端面に付け、同時に治具のベース部に押し当てた位置でクランプで固定します。
ほぞ加工は、板材の4面に対して加工をして行きますが、このほぞ長さセット棒の先端のダボの位置に板材を合わせて回転させて加工することで、4面全てを同じほぞの長さにすることが出来ます。

以上でほぞ加工をする際の治具と板材のセッティングは完了です。

トリマーによるほぞ加工の手順

1.トリマーの突き出し量を設定する

固定された板材の向きに応じて、設計図上のほぞの幅(深さ)の突き出し量を確認します。

今回の場合、加工する板材の木端面の寸法は40mm x 20mmのものを使用しました。

40mmには、幅(深さ)5mmの掘り込みをして20mmの方には幅(深さ)8mmの掘り込みのあるほぞ加工をして行きます。

最初に固定した板材の向きは幅が40mmの側です。

トリマーの電源ケーブルを抜いた状態でビットの突き出し量をベースプレートの厚さ5.5mmを加算し、10.5mmにします。

ビットの負担と作業音の低減のためには、3mmの分割加工治具を使って加工を2回に分けた方がストレスは少ないでしょう。

 

2.最初の面の加工の開始(右側からクライムカットを開始する)

この面の加工は、木の木目(繊維方向)に対して、直角の加工になるため、欠けが発生します。

ほぞ加工のトリマーの動きは、いつも右側からスタートし、左のトリマーのガイドフェンスに向けて移動させて行きます。

欠け防止のためのクライムカットも右側から開始します。

トリマーの電源ケーブルを挿し込み、トリマーの位置をガイドフェンスからは離れた右の位置に置き、板材がトリマーのビットに触れていないことを確認し、トリガーのスイッチを入れます。

クライムカット用の空間を設けてある方は、右の板材に触れない空間位置にトリマーを置いて下さい。

最初にゆっくりとトリマーを向こう側の板材の右側に侵入させてから左に移動し、板材の向こう側をクライムカットをして行きます。

 

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クライムカットが終わったら、右側からトリマーを前進させて下さい。

ビットに負担を掛けないよう、一度に多くの量を加工しようとせずに、数ミリづつ加工して行って下さい。

ほぞ加工は、左端のトリマーのガイドフェンスに近づけて行きます。

ほぞ加工をした後の断面は平面になっている必要があります。

特に左端のガイドフェンスに沿った加工は取り残しが発生しやすい箇所です。

右端から、左のガイドフェンスまでの間を何度も再加工しながらトリマーを前後に動かし、削り残しのない平面にする意識で加工をして下さい。

削り残しがあるかどうかは、作業音で確認出来ます。

何処を動かしても作業音が、同じになった所でトリガーを切って下さい。

分割加工治具を使った場合、2回目の加工を分割治具を外し、開始して下さい。

2回目も1回目と同様、加工の開始は前方のクライムカットからです。

同様の手順で、加工を作業音が一定になるまで続け、最初の面の加工が終了します。

3.反対側の面の加工を開始する

右側で固定してある「ほぞ長さセット棒」はそのままにして、加工する板だけひっくり返して、反対側の面を上にして「ほぞ長さセット棒」にぴったりと付けてクランプで固定します。

これは、1回の加工のたびに、トリマーのビットの突き出し量を変える作業を避けるためです。

ほぞ加工の場合、向き合っている面のほぞの幅(深さ)は同じはずです。

加工の手順は先ほどと全く同様です。

クライムカットから開始し、トリマーの移動は右側から左へと移動させて行きます。

向き合う2面の加工が完了しました。

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もし、同じビットの突き出し量でほぞ加工をする板材が他にもある場合には、ビットの突き出し量を変えずに済む加工を先に済ませてしまって下さい。

 

4.残った2面の加工と仕上げ

20mmの幅の面を上にして、右側の「ほぞ長さセット棒」にピッタリと付け、クランプで固定します。

トリマーの加工

この面のほぞの幅(深さ)は8mmなので、必ず分割加工を使って2回に分けて加工して下さい。

 

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加工の要領は、先ほどの最初の面と全く同様です。

この面は加工する奥行が少ないので、加工は先ほどより楽に出来ます。

ただ、削り残しがないように作業音が一定になるまで加工を丁寧に行なって下さい。

【1回目の加工の終了】

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【2回目の加工の終了】

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これでほぞの4面全ての加工終了しました。

status-of-close-of-processing

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加工が終了したばかりの状態は、クライムカットをしたおかげで、欠けは発生していないものの、バリが目立つ場合があります。

サンドペーパーの#120でバリを取って下さい。

【バリを取った状態】

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まとめ

如何だったでしょうか?

え?ほぞ加工って、こんなに簡単だったの?

そう思われた方も多いのではないでしょうか?

確かにほぞ加工を成功させるためには、精度の高い加工が要求されます。

でも、ほぞ加工の仕組みと精度の高い加工をするために補助をしてくれる治具とトリマーさえあれば、木工DIYの初心者の方でも必ず出来るようになる加工です。

残された加工は今回作ったほぞが、隙間なくぴったりと収まるほぞ穴の加工が出来ればいいだけです。

既に別の記事「トリマー用大入れ継ぎ治具の自作」を読んで実際に製作してみた方ならすぐに出来るでしょう。

大入れ継ぎ用治具の小型版だからです。

治具の仕組みは全く同じです。

今回作ったオス側になるほぞ部分を現物合わせでほぞ穴にトレースして行く仕組みです。

この現物合わせで加工して行くという考え方は、作品を設計図の寸法通りに作り上げることより、はるかに簡単で失敗の少なくする秘訣だと木工歴35年以上になる私が実感していることの1つです。

ほぞにぴったりのほぞ穴を作るための治具の記事も併せて読んで頂き、皆さんの木工作業の幅がどんどん広がり、木工作業への自信と楽しさがさらに増して行けることを願っています。

以上

 

 

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