塗装前の下地処理が全てを決める

せっかく組み立てたのに、塗装が汚くなっちゃったな・・

おかしいな・・ちゃんと何度もサンディングして仕上げたのに、表面にムラが出来てしまった。
こんなこと、ありませんか?
私も何度もありました。
組み立てと接着がきちんと出来たのに、最後の塗装が綺麗に仕上がっていないと、今までの苦労が台無しになってしまいますね・・
自分は不器用だからと自信をなくしたり、塗装は苦手だと感じている方も多いのかもしれません。
ここでは、そんな悩みを抱えている木工DIYの初心者の方にも、私の経験から失敗のない木工の塗装のための下地作りの方法をお話して行きます。
下地処理(サンディング)も木工作業の中の大切な工程の1つ

やっと形になった!さて、何色で仕上げようかしら?

ちょっとアンティークで艶消しの塗料で塗装をしてみようかな・・
ちょっと待って下さい。
塗装を開始するのは、下地作りが完成してからです。
下地作りの主な工程は、紙やすりでサンディングをして表面を滑らかにして行く作業です。
その下地作りが、綺麗に出来るかどうかが、塗装の出来栄えの8割を決めます。
綺麗な下地が出来て、初めて綺麗な塗装が出来ます。
サンディング処理の理想は表面を完全な平面に
下地作りが終わった理想の状態は、塗装する1つ1つの部材の4辺が完全な平面になった状態です。
ただ、木工の材質である木は自然のものなので、現実的には完全な平面の状態にすることは不可能です。
塗装の種類の中に「鏡面仕上げ」がありますが、鏡面仕上げをした塗装を見ると、自分の顔が鏡のように映し出されます。
そんな「鏡面仕上げ」は、塗装の手順も大切ですが、そもそも均一な”鏡のような平面”の下地が出来ていないと「鏡面仕上げ」にはなりません。
実際には難しい事ですが、下地作りの理想は、「完全な平面」に出来るだけ近づける事だということは覚えておいて下さい。
失敗しない塗装のためのサンディングの2つの秘訣
1.紙やすりの番手を2倍づつ増やして行く
紙やすりには、番手という数字が振ってあり、数字が少ないほど荒い目になります。
目安として板材の表面を数字の少ないものから、倍の数字へと変えてサンディングして行きます。
#30(#40)・・2x4材や塗装を剥がず場合に使用#60(#80)・・#40でサンディングした後をならす
#120・・次の仕上げのサンディングの下地ならしの意味合い*この段階で、かなり表面を指で撫でるとツルツルになって来る
#240・・・・・仕上げのサンディング*一般的な木工作品のサンディングの通常のものは、ここで終了
#400・・・・・さらに表面の艶を求めようとする場合
#600・・・・・鏡面仕上げの時の仕上げ
2.毛羽立ちを浮き上がらせる
この工程は2つのことを目的にしています。
1.木の表面の中に入り込んだ細かい研磨の粉を拭き取る
2.水で木が湿ったことで、木の表面に毛羽立ちが起こる
水が乾くのを待って指で撫でてみると、水を濡らす前とは違い、ザラツキを感じます。
板の真横から表面を見ると先ほどまで綺麗に仕上がったように見えていた表面の問題の箇所がはっきりします。
これが毛羽立ちです。
水が乾いたのを確認し、表面に問題のある箇所をメインに再度同じ番手でサンディングをして行きます。
表面の毛羽立ちが無くなったことを確認し、次の数字の多い番手に変えてディングをして行きます。
特に、#30 (#40)、#60(#80)の時には、入念に表面の状態を確認することが必要です。
仕上げのサンディングとなる#120や#240 でサンディングする段階で表目の粗さに気付くと、再び前の#60(#80)やさらにその前の”#30(#40)にまで戻ってサンディングしないとその表面の荒さは消えないからです。
とても面倒な手順ですが、この手順をすることで、次の塗装は見違えるように綺麗な仕上がりになって行きます。
下地のサンディングの際の注意点
各部材の切断が全て終わった段階で、各部材の4面全ての面にサンディングをして平にして行きます。
電動工具のヤスリ部分を留めるベース部分は平面なので、サンダーの重さをそのまま板材に押し付けて行けば平面が保てます。
注意が必要なのは、木端面と木口面のサンディングです。
【板材の名称】
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部材をクランプで固定しても、木端面も木口面は、表面の幅(板厚)は狭く、18mm前後しかないことが多いため、どうしても普通の電動サンダーの大きさでは、本体が傾き、平面として研磨が出来ません。
端面と木口面(板厚部分)は、サンディングをしないでそのまま塗装をすると、木肌の荒さはかなり目立ってしまいます
そんな少ない面積のサンディングにでも、手で仕上げることは、面倒です。
そんな時少ない面積のサンディングに便利なのが、電動ミニサンダーです。
音も比較的小さく、軽くて疲れません。
【電動ミニサンダー】
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ランダムアクションサンダーとオービタルサンダーの使い分け
電動サンダーのランダムアクションサンダーとオービタルサンダの2つをお持ちの方は、下記を参考に、サンドペーパーの番手に応じて、サンダーを変えながらサンディングを進めて下さい。
【ランダムアクションサンダー】
*面積の広い箇所、削る力を必要とする箇所に使用
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【オービタルサンダー】
*気の木目に沿って、動かし、主に仕上げ用に使用
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電動サンダーが無い場合
1.紙やすりを端材に巻いて使用する
2.ハンドサンダーを使用する
*どちらもサンダーを掛ける面が、平面になっていること
【左が端材と紙やすり、右側上は中目のサンダーが付いたハンドサンダー右下は底面に紙やすりを留めて使用するハンドサンダー】
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木工用パテを使った補修
サンディングは、板の表面から出っ張った箇所を均一にすることですが、板材によっては、表面がへこんでしまっている箇所があります。
キズでへこんでいる箇所や木の節(ふし)の周囲にあることもあります。
へこんだ箇所を見落としてそのままにしておくと、塗装後に非常に目立ってしまうことになります。
このような板材のへこみ部分は深さが浅い場合には、サンディングだけで消してしまうことが出来ます。
ただ、深さのあるものや長いキズのような場合には、木工用エポキシパテで埋めて段差をなくして行きます。
ウッド用パテ(色:タモ白)
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1.画像の木工用パテは、2つの粘度上の溶剤を指で混ぜ合わせたものを、修正箇所に少し盛り上がるように多めに塗り込みます。
パテは固まると全体の体積が少し縮むため、ヘラでぴったりならすと、乾くとへこんでしまうことになるためです。
一昼夜そのまま放置し、乾燥するとかなりの硬度で固まります。
完全にパテが固まっていることを確認し、電動サンダーではなく、手でサンディングをして、盛り上がった箇所と他の面が平面になるまでサンディングして行きます。
サンディングした後、パテはその上から問題なく塗装が可能です。
木工用パテは、白色系(タモ)と茶系(ラワン)の2色があります。
補修する箇所の木の色合いに近いものを使うことで、より目立たなくなります。
実例:木工用パテの補修と塗装
下記の画像は、私がチェストとライティングデスクをリフォームした実例です。
【修復前のチェスト下部】
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【チェストの下部をパテで補修】
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【チェスト:サンディング・金具交換後の塗装】
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【補修前のライティングデスク上部のキズ】
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【修復前のライティングデスク下部の欠け】
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【ライティングデスク下部をパテで補修】
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【ライティングデスク:上部をサンディングして塗装】
*引き出し用金具も交換
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【ライティングデスク:下をのパテ補修し塗装】
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まとめ
金属の塗装と違って、自然の材料を使う木工作業では、表面が均一になった綺麗な塗装をすることは、中々難しいことです。
見た目が美しい木の風合いも大切ですが、触った時に感じる感触も大切です。
理想の「表面を完全に均一にする」ことを目指し、番手を変えて行く手順と途中から始める毛羽を取るサンデイングの秘訣をお話ししました。
1.紙やすりの番手を#40番から目安として倍に増やしながら#240まで変えながらサンディングする
2.仕上げのサンディングの一歩手前の#120から水挽きをして毛羽がなくなるまで削って行く
もちろん、毛羽を取らずに敢えてそのまま仕上げて自然な木の風合いを楽しむ方法もあります。
でも、時として綺麗な鏡面仕上げに近い風合いを求める時には、このやり方はとても有効です。
以上