正確な切断やその他の加工が出来ると、もう完成は目の前です。
早く作品を完成してしまいたい気持ちが高まります。
でも、加工が終わった後のサンディング作業は、その後の塗装に大きく影響します。
別の記事「木工の下地処理の秘訣」で、塗装を失敗させない下地処理の重要性と手順を紹介していますが、
下地処理についての記事をまだ読んでいない方がいたら、下記の記事も併せて参考にしてみて下さい。
でも、手作業でサンディングをすると大変ですよね?

かといって電動サンダーは音が大きいから気を使うんだよね・・

サンディングは粉が舞って汚れるから・・適当に済ませたいの

サンダーで、番手を変える時いちいちサンドペーパーを挟み込む交換が面倒なんだよな・・
この記事では、多くの方が抱えているこんな面倒なサンディング作業を効率的に済ませ、しかも作業の時の騒音に配慮したお勧めの電動サンダーをご紹介していきます。
電動サンダーの4種類
まず、電動サンダーには、どんな種類があるのかをお話ししていきます。
オービタルサンダー

画僧出展:Amazon
オービタルサンダーの研磨面は四角ですが、パッドの動きは、少し長めの円を描いて動いています。
そのため、オービタルサンダーの使い方は、やや斜めにして板材に押し当てて動かすことで、より広い面を均一に仕上げていくのがコツです。
その動きで発生した粉塵をパッドの左右にある集塵用の穴から吸引することが出来ます。
ランダムアクションサンダー

画僧出展:Amazon
ランダムアクションサンダーは、オービタルサンダーの描く動き全体をさらにランダムな円運動を加えた動きになります。
オービタルサンダーの研磨力よりも大きな研磨力を持っているので、特に荒仕上や塗装を剥がすような大きな研磨力が必要な時に威力を発揮します。
杉材でプレート加工をしていない、表面がザラザラした木材や最も使うことが頻度が多い2バイ4材に#80の番手で最初に行なうサンディングの際には最適なサンダーです。
もちろん、#240,#400といった仕上げ段階の細かい目のヤスリの番手まで使用は可能です。
ランダムアクションサンダーの用途としては、木工作業だけではなく、車のワックスをボディー全体に引き伸ばし、鏡面仕上げにしていく作業まで対応出来ます。
ランダムアクションサンダーのパッド部は、マジックテープ対応なので、取り付けるヤスリの番手の交換がとても簡単です。
作業音もオービタルサンダーよりも小さいので、作業音を気にする方は、このランダムアクションサンダーがお勧めです。
ベルトサンダー

画像出典:Amazon
ベルトサンダーは、パッドの部分にエンドレスのサンド―ペーパーで広い面をサンディングすることに特化した電動サンダーです。
上の画像のような戦車のようなベルトサンダーは、テーブル等の広い面の塗装のはがしや、荒い板面の最初のならし仕上げの場面で、ランダムアクションサンダーよりも大きな研磨力を発揮します。
ベルトサンダーは自分で動かすタイプと、据え置きタイプで木材を当てていくタイプの2種類があります。
下記画像は据え置きタイプのベルトサンダーで、こちらは小さな部品の平面や直角・角に丸みを付けるようなサンディングに向いています。
【据え置き型】

画像出典:Amazon
自分で動かして使うタイプも、逆さまに固定し動くエンドレスベルトの部分に板材を押し当て、曲面や断面を成形して行くことも出来ますが、本体をしっかり固定する手間が増え、使い勝手は据え置き型にはかないません。
ご自分の木工作業で、手持ちか据え置き型のどちらを使う頻度が多いかを想定し、最初の1台を選ぶ方がいいでしょう。
ミニサンダー

画僧出展:Amazon
小型で軽く、パッド部分が四角のものや、先端がデルタ型(三角)になったものもあり、先端がデルタ型のを「デルタサンダー」と呼ぶこともあります。
どちらも、サンディングする箇所が小さいものに向いているので、木工DIYでも小さな作品を手掛けることが多い方や細かい部材や曲面のサンディングの時に活躍します。
先端が尖ったデルタサンダーは、特に箱の内側の隅や部材と部材の際(きわ)部分までサンディングが出来ます。
初めて電動サンダーを買うとしたら
最初に電動サンダーを1台購入するなら、オービタルサンダーかランダムアクションサンダーのどちらかをお勧めします。
どちらを購入するかは、自分がどんな作品を多く作るのかを目安にすればいいでしょう。
・塗装まで鏡面仕上げにして作ろうとするような繊細な作品が多い場合 → オービタルサンダー
・2バイ材等で本棚や比較的大きな面積を研磨する作品が多い場合 → ランダムアクションサンダー
どちらか1台をまず使い始め、使い慣れて来たらさらに2台目に持っていない方を買い足して行くのが一番いいでしょう。
私の場合、最初に安いだけで作業音が爆音のオービタルサンダーを買ったものの作業音が気になり使わなくなってしまいました。
後に静音に配慮したランダムアクションサンダーを買ってみて、その静かな作業音と研磨力にびっくりしました。
その後、少し高価なオービタルサンダーも買い足し、作る作品に応じて使い分けていましす。
お勧めの電動サンダーの選択基準
今回の木工初心者の方にお勧めする電動サンダーの選定基準は、下記4点です。
1.手頃な価格
2.静音に配慮したモーターの回転数が変更可能な機種
3.サンドペーパーがワンタッチで交換可能なもの
4.集塵機能が付いているもの
併せて今のサンダーの上位機種や別の機能を持つ2台目としてお勧めの機種も紹介します。</
既に何らかの電動サンダーをお持ちの方でも、今より使い勝手のいいものや、さらに木工の加工の幅を広げる参考にして頂けたらと思います。
木工初心者にお勧めのオービタルサンダー
BOSCH GSS23AE/MFが最もお勧めの理由
価格が1万円という電動工具としては手頃な価格で購入出来ます。
Amazonでは、\11,937(税込)で販売されています。(2023.09月現在)
・静音に配慮した機能(モーターの回転数が変更可能)
・回転数の変更は作業中でも可能
・サンドペーパーを挟み込んでクランプで固定する方法とマジック式でワンタッチで固定する両方に対応
尚、ワンタッチ式のペーパーを使用する場合と、一般的なサンドペーパーを使用する場合の違いは、下記になります。
ワンタッチ式とクランプ式の比較
操作性 | 交換用ペーパーの価格 | |
ワンタッチ式 | ワンタッチ | やや割高 |
クランプ式 | クランプでペーパー挟み込む | 割安 |
電動サンダーは頻繁にサンドペーパーの番手を荒いものから仕上げ用の細かいものへと変更していくので、ワンタッチ機能付きの機種は作業効率を高めてくれます。
一方、サンディング処理は必ず実施する作業なので、頻繁に木工作業をする方には、手間は掛かりますが、クランプ式を使う場合には費用を低く抑えられます。
そのどちらにも対応していることは、ユーザーに優しい設計と言えます。
・後ろにあるダストパックは、充分な大きさを備えている
・ダストパックを外し、集塵ホースにも接続可能
2位のBlack & Decker KA320Eの特徴
現在「KA320E」はAmazonで\4,400(税込)で販売されています。(2023.09月現在)
\5,000を切る価格でモーターの回転数が変えられる機種を開発したBlack & Decker の努力は賞賛に値します。
回転可能な範囲は、1位のBOSCHの「GSS23AE/MF」と同じです。
サンドペーパーの交換方法は、クランプ式でも、マジック式でも可能です。
一定の量を研磨する電動サンダーにしては、本体後部にあるダストパックはあまりに貧弱です。
ダストパックを外し、集塵ホースを繋ごうとしてもダストの出口の形状が特殊なため、ホースに合うような何らかの加工が必要になって来ます。
マキタ 18V バッテリー式 BO380DZの特徴
バッテリーで動く電動工具の最大のメリットは、言うまでもなくコードから解放された作業空間を問わない使い勝手の良さです。
マキタの製品は、ほとんどの電動工具をバッテリーで動かす方向性です。
このことは、コードから解放されて作業場所を選ばないで済むメリットと本体以外にバッテリーの予算が必要になります。
低速・中速・高速の3段階に調整可能です。
この機能は高級機に備わっている機能です。
既にマキタの他の電動工具のインパクトドライバー等をお持ちで18Vのマキタ用バッテリーをお持ちであれば、本体を¥16,044 (税込)で購入出来ます。(Amazon 2023.09月現在)
一方、マキタのバッテリーをお持ちでない方は、さらにバッテリー充電器「DC18RF」(マキタ純正)(\8,980)とバッテリー本体「BL1860B」(マキタ純正)\16,140(税込)を購入する必要があり、合計で¥25,120別途費用が掛かります。(Amazon 2023.09月現在)
ほとんど他の機種がクランプで挟み込んでも、マジックテープでも交換出来るのに、未だにサンドペーパーを差し込んでクランプで固定するやり方を採用しています。
サンドペーパーの着脱は、作業時間の短縮のためには手間を掛けたくない作業です。
(バッテリー付きのものは、機種名が「GS380DRG」になります)
木工初心者にお勧めのランダムアクションサンダー
BOSCH 「GEX125-1AE」 が最もお勧めな理由
木工初心者の方で、オービタルサンダーよりもう少し研磨力と集塵機能を備えたサンダーを検討している方には、このBOSCH「GEX125-1AE」がお勧めです。
現在、BOSCH「GEX125-1AE」は、Amazonで¥17,370で購入出来ます。(2023.09現在)
回転数も変えられ、大きさも女性でも問題なく扱える大きさです。
用途としては、木工だけではなくマジック式のアタッチメントをポリッシュ用に交換すれば、車のワックス磨きにも使用出来ます。
BOSCHの「GEX125-1AE」と同じ価格帯にはマキタの「BO5030」がありますが、回転数が変えられない機種なのでお勧めの機種からは外しました。
3位のBosch GEX125AVE は、価格は少し高めになりますが、私の所有するBosch GEX 125AC/MF(販売終了)の後継機種で、そのパワーと静粛性の両方を兼ね備えたサンダーで、長く愛用出来る機種としてお勧めします。
2台目としてお勧めのミニサンダー
ミニサンダーは、木工DIYで作る作品が比較的小物が多い方には、お勧めのサンダーです。
一般的な木工作品の中でも、小さな部材や曲面等をサンディングする場面は多いと思います。
お勧めの3台を表にして比較してみましょう。
価格(税込) | 重さ (kg) | 回転数 | ペーパー交換方法 | 集塵装置 | |
BOSCH PSM80A | \8,980 | 1.52 | 11,000 | ワンタッチ | 〇 |
Back & Decker KA2000 | \4,484 | 1.10 | 14,000 | ワンタッチ | 〇 |
京セラ(リョービ) S5000 | \6,871 | 0.76 | 10,000 | クランプ | ☓ * |
*ダストノズルはあり
*回転数は、どの機種も回転数が変えられないので、固定
*価格は2023.09月時点のAmazonの価格
BOSCH「PSM80A」がお勧めな理由
この3機種の中で静音化に最も優れているのは、回転数が一番低い3位の京セラ(リョービ)の「S5000」です。
ただ、この「S5000」の難点は、後ろのダストノズルは付属しているものの、吸い取った木粉を受けるアタッチメントが何も附属されていません。
私はこのS5000を使用していますが、ダストノズルに、集塵ホースを付けているので問題ありませんが、集塵がなければ掃除機に付けない限り、木粉が飛び散ってしまいます。
この集塵機能がないことと、ヤスリの番手を交換する時にクランプ式であることが木工初心者の方には、特に使い勝手が悪いと判断し、3位にしました。
一方、1位のBOSCHの「PSM80A」はヤスリの番手を変える時にも、マジック式でワンタッチでアタッチメント交換出来て、手間いらずです。
2位のBlack & Decker の「KA2000」は、値段がとにかく安いことと、集塵後の木くず処理も簡単に出来ます。
ただ、静かかどうかという点から回転数が、3機種の中で一番高いために2位にしました。
回転数が高いとはいっても、このレベルであれば掃除機と同程度です。
3位の京セラ(リョービ)の「S5000」は、本体の回転数が低く静かでも、集塵機でつなげて使用すると、集塵機の音は付加されます。
お勧めのベルトサンダー
ベルトサンダーは、テーブル面のような大きな面積をサンディングする場面や塗装を剥がす場面では、あると頼りになるサンダーです。
また、ほとんどの機種は、本体を逆さまにした状態で、部材を当ててサンディング出来ます。
小さな部材の曲面を出したい時には、サンダーを動かすより、部材をサンダーに押し当てた方が均一なサンディングが出来ます。
ベルトサンダーの使用には集塵機が必要
ベルトサンダーは、今までお勧めしてきた他の電動サンダーと違う点が2点ほどあります。
2.研磨力が高いので、使用には集塵機が必要
ベルトサンダーをいきなり、最初の電動サンダーとして購入する方はいないと思います。
また、ベルトサンダーは、今まで紹介して来たどの電動サンダーよりも研磨力が高いため、多くの木紛が発生します。
それを考えると、使用時には掃除機や専用の集塵機等、何らかの集塵機が必要な電動工具だと思って下さい。
お勧めの機種の中には、削り出された木粉を収める集塵袋が付属しているものとないものがあります。
ただ、付属している集塵袋は小さいためすぐに一杯になってしまい、ほとんど役に立たないと思っておく方がいいでしょう。
健康のためにも、特にベルトサンダーを室内で使用する時には、掃除機でもいいので必ず集塵機を付けて作業するようにして下さい。
京セラ(リョービ)「BDSー1010」をお勧めする理由
この「BDS-1010」は、固定式のベルトサンダーです。
そのため、広いテーブル面や組み立てたままの板面の塗装剥がし等の用途には使用出来ません。
ただ私の今までの経験からは、その用途が必要な場面では、ランダムアクションサンダーを使えば問題ありません。
むしろ、ミニサンダーの用途の箇所でもお話した曲面の研磨や小物を研磨する時に、この固定式のベルトサンダーは、効率的にサンディングをしてくれます。
大きな特徴は下記3点です。
以上のような多様な使い方は、大きくサンディングをする幅を広げてくれます。
この本体を固定したままで行なうサンディングは、2位と3位の機種では、本体を逆さまに固定すれば可能ですが、ここまで多様なサンディングは出来ません。
2位の京セラ(リョービ)の「ABE3210」と3位のマキタの「9911」は、1位の「BDS-1010」が出来ない、広い面のサンディングが可能です。
2位と3位の違いは、2位の京セラ(リョービ)の「ABE3210」の速度回転数の可能な幅がより低い回転数まで可変可能で、それだけ静音に配慮した作りだと言えます。
リョービ「ABE3210」
回転数の可変幅:2,280〜16,200回転/毎分
・マキタ「9911」
回転数の可変幅:4,500〜16,200回転/毎分
*BD1010の価格は、\21,862(税込)です。
(2023.09月時点のAmazonの価格)
まとめ
電動サンダーは、とにかく音が大きくてうるさい!という時代は、もう終わった気がします。
お勧めした電動サンダーを使ってストレスのない作業が出来ることで、木工作業を思い切り楽しんで頂けたらと思います。
一方、サンディング作業は、どちらかというと面倒な作業ですね?
木紛が舞い上がり、全身や指先も粉っぽくなります。
ただ、この面倒なサンディングをおろそかにすると、その後の過程である塗装は決して綺麗に仕上がりません。
塗装を失敗させないための秘訣は、この面倒な下地処理であるサンディングをしっかりとすることです。
この少し面倒なサンディング作業を健康的で快適な環境にするために、木工作業専用のサイクロン式の集塵機を作業環境の中に取り入れることを是非、検討してみてください。
ほとんどのサイクロン集塵機は、家庭用掃除機と洗濯機用のホースに繋げることが出来るようになっています。
集塵機は、サンディングだけではなく、丸ノコやトリマーの作業にも作業場所を快適にする力を発揮します。
その日の木工作業が終了し、掃除をする時間が少なくなれば、今以上に毎回の木工作業が快適になるはずです。
以上