ストッパー付きトリマーガイドで何が出来ようになる?
別の記事「トリマーガイドの自作」では、ストレートビットを付けて墨線に沿った正確な直線の溝を掘り進む治具を紹介しました。
30年近くトリマーを使って来た私にとって、なくてはならない治具です。
ただ、このトリマーガイドの使い方には1つだけ限界があります。
それは、加工する板材の端から端までを通して掘り進むガイドだという点です。
当然、加工した板材の端と端には、凹部が残ります。
ただ、時には端に出てしまう凹部を隠して、スッキリ見せたい時もあります。
そのためこの治具に、前後共に正確な位置でトリマーを止められるストッパーが取り付けられないかと、ずっと構想を巡らしていました。
私の欲しかったストッパーは、下記の機能を備えているものをイメージしていました。
・中央のトリマーガイドのフェンスに沿ってストッパーが動き、任意の箇所で止められる
・止め方は、簡単にネジで強固に固定出来るもの
・ストッパーとトリマーガイドには段差がなく、トリマーを前後共に安定して止められるもの
最近、ようやく下記画像のこの条件を備えたトリマーガイドとストッパーを試行錯誤しながら設計し、実際に作成してみました。
【ストッパー付きトリマーガイド】
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*従来のトリマーガイドと同様に、ガイドの側面は、直径6mm用のストレートビットと10mm用のストレートビットの2つの違うビットが使用出来るものにしました。
*ストッパーも同様に6mm用の前後用、10mm用の前後用の1セットづつ作成しました。
ストッパー付きトリマーガイドの使い方
今回作成したトリマーガイドは、以前のガイドフェンスの中央がストッパーが動く溝にしてあります。
そこにストッパーを通し、任意の位置でボルトノブでストッパーを固定出来るようにしたものです。
墨線は通常通り、トリマーを進める位置と、トリマーを止める位置に引いておきます。
【板材の途中に溝を掘るための墨線】
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セッティングのし方は、通常のトリマーガイド同様、このガイドの右端を溝を掘る墨線の位置に合わせ、その後ストッパーのベース部分を溝の開始位置と終了位置の墨線に合わせ、固定します。
【ストッパー付きトリマーガイドのセッティング】
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上の画像の墨線のスタート地点と終点地点に合わせたストッパーのベースプレートの位置は、ストッパーのガイドフェンスにトリマーを当てて切り落としたものです。
私の紹介しているトリマーガイドや丸ノコ治具と同様の原理で、一度ストッパーのガイドフェンスに当ててトリマーのビットが切断した跡は、その後も同じ軌跡を描きます。
その原理で、墨線に合わせた前後のストッパーのベースプレートの位置で加工の開始と終了が完了します。
もし、必要な加工が、いつも板材の端から開始し、終点が板材途中で終わる場合なら、使用するストッパーは板材の終点である地点に1つあれば足ります。
一方、板材の途中から加工を開始し、終点が板材の途中になる場合には、画像のようにストッパーを前と後にそれぞれ2つ固定します。
尚、板材の途中からトリマーの加工を開始しする場合、トリマーは必ずチルトイン加工で開始させます。
【チルトイン加工の開始状態】
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このトリマーのチルトイン加工のやり方は、別の記事「自作トリマーガイドの使い方 |もっと使いやすく、もっと効率的に」の中の「 板材の途中から始め、途中で終わる溝加工」で詳しく説明しています。
まだ、その記事を読んでいない方はそちらを参照してみて下さい。
この記事で紹介するトリマーガイドとストッパーを作ることで、板材のどの位置からでも加工の開始地点から終了地点までを簡単に、しかも正確に溝を掘る加工が出来るようになります。
【ストッパー付きトリマーガイドを使用した加工結果】
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ストッパー付きトリマーガイドの作り方
設計図
【ガイド部にストッパーを取り付けた全体の平面図】
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*両側の2面は、6mmのストレートビット用と10mmのストレートビット用でなくても構いません。
ご自分の良く使うサイズのもので作成して下さい。
(ビットの大きさによって、設計図上の寸法修正が必要になります。)
必要な部材
トリマーガイド部
・ベース部分:シナ合板(合板)
5.5mm(5mm) x 140mm x 550mm 1枚
(ベースプレートの長さの550mmは自由なサイズで可)
・ガイドフェンス部:パイン材等
18mm x 11mm x 650mm 2枚
(ガイドフェンスの長さの650mmは、ベースプレートとのバランスで決めて可)
・ガイドフェンス結合部:檜工作材
4mm x 15mm x 650mm 2枚
(長さ650mmは、ガイドフェンスと同じにします)
*トリマーガイドの中央のガイドフェンスの方が長い理由は、ベースプレートの両端の前後のトリマーがガイドフェンスに正確に沿って動くためです。
ストッパー部(両側前後にセットする4個分)
・ストッパーベース部:シナ合板(合板)
5.5mm(5mm) x 50mm x 85mm 4枚
・ストッパー中部:パイン材
18mm x 50mm x 35mm 4枚
・ストッパー段差アジャスト部:檜工作材
(ストッパーガイドに使う端材を使用)
4mm x 15mm x 35mm 8枚 (1つのストッパーに2枚使用)
・ガイドフェンス連結部:シナ合板(合板)
5.5mm(5mm) x 35mm x 132mm 4枚
・M10(M8) ネジとボルト 4セット
・M10(M8)ボルト用平ワッシャ 4枚
・M10(M8)用ボルトノブ 4個
トリマーガイド部の製作手順
最初にベースになるトリマーガイド部を作成していきます。
別の記事「トリマーガイドの自作」で紹介した治具と原理は同じものです。
中央のガイドフェンスを作る
今回製作するトリマーガイドは、中央にストッパーを任意の位置で固定出来るようにするためのレールの役面をさせています。
ガイドフェンスを2本にしてその隙間をストッパーが動くために取り付けて行きます。
ベース部分になる 5.5mm x 140mm x 550mm の板材の幅 140mm の両端からそれぞれ 50mm の位置に墨線を2本引きます。
その墨線の位置に両面テープを貼り、ガイドフェンスになる 11mm x 18mm x 550 mmの板材を貼付して行きます。
その際、両面テープで2本の板材を固定する前に下記を確認して下さい。
M10のボルトナットを使用しますので、そのナットの平面の幅は16.5mmだったので、設計上は少し余裕を持たせ、18mmにしてあります。
【ネジ・ノブ・ボルトを締めた状態】
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【ストッパーのネジ部の動きの確認】
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確認後、その位置で両面テープでガイドフェンスを貼付して下さい。
貼付後、ベース面の裏面からネジの頭が出ないように座ぐり・下穴を開けた上でガイドフェンスのネジ止めをしていきます。
【座ぐり加工】
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【下穴を開ける】
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座ぐりと下穴をビットを交換するより座ぐり穴と下穴を一度に開けられる下記のような便利なビットもあります。

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ガイドフェンスの上部にストッパーガイドを作る
上記1で固定した2本の板材の隙間をストッパーの止められたナットが動いて行きます。
この2枚の薄い板材の役割は、ストッパーがフェンスから抜け落ちてしまうことを防ぐフェンスになります。
ストッパーは、ボルトとナットで締めますが、このフェンスの上に置く薄い板材2枚の隙間は、ネジの直径ギリギリの隙間にしてあります。
そのことでネジよりも幅のあるナットがこの板材で上に飛び出すことを防止します。
完成すると見えなくなる部分ですが、この2枚張った板材の下からボルトがネジにはめ込まれています。
少し分かりにくい部分なので、下記画像をご覧下さい。
【ストッパーをはめ込む時のネジとナットの状態】
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上記画像のように、この薄い板材が貼付されていることでボルトのネジが下に通り、下のボルトの直径はこの板材の隙間よりも大きいので、ストッパーは抜け落ちなくなります。
一方、上のストッパーのネジが回された時、ボルトが一緒に動いてしまうとネジは締まりません。
そのため、ストッパーのこのネジとボルトが中央のガイドフェンスに差し込まれた時、2枚のガイドフェンスの隙間はボルトが動かない幅に設計してあります。
1.板材の貼付は、木工用ボンドがお勧め
通常は、ガイドフェンスの固定のように、両面テープで貼付した箇所をネジ止めで補強していますが、この部分は、治具の上の一番上の目立つ箇所です。
その方法で固定しても問題はないのですが、ネジではなくボンドで固定した方が、スッキリした見た目になります。
もう1つの理由は、この貼付位置は下記の確認が必要です。
そのため、ボンドが乾く前なら貼付する位置がまだ動くので微調整が可能です。
両面テープの場合は、貼付後の微調整が不可能です。
ストッパーのネジとボルトが締められた状態でスムーズにガイドフェンス上を動くことが、この治具のポイントです。
この段階でストッパーのネジ部分の動きを確認しておいて下さい。
固定位置が決まったら、クランプでストッパーガイドとガイドフェンスを固定し、半日ほどボンドを完全に乾燥させて下さい。
トリマーガイドのベースプレートを切り出す
以前紹介したトリマーガイドの製作の時と同様、トリマーガイドのべース部分右側をそれぞれの直径のビットで切り出して行きます。
この段階までガイドフェンスからベースプレートまでの幅は、50mmになっています。
ここを6mmのストレートビットを取り付けて実際に切り出すと、フェンスからは42mmの幅で切り出されるはず
8mmの場合には、41mmになります。
したがって、両側面も、約10㎜弱の余分な部分がカットされて行くことになります。
この原理は別の記事で紹介した「トリマーガイドの自作」で作成したガイドと同じものです。
トリマーガイドが完成した後、トリマーを中央のガイドフェンスに沿わせて動かして行くと、取り付けられたビットは切り出され時と全く同じ軌跡を描いて動いて行きます。
そのことで、プレートの右側には、いつも正確にビットの直径の幅の溝が掘られて行くという原理です。
作り方は同じですが、一応今回のトリマーガイドの作成手順を説明します。
トリマーのビットの取り付け方は、別の記事「木工トリマーの使い方【超初心者向け:初めて触るトリマー】」に詳細が書いてありますので参照してみて下さい。
板材を切り出す時のビットの突き出し量を決める方法は、現物合わせで行ないます。
板厚の寸法をそのままノギスで測ってビットの突き出し量を決めると、突き出し量が足りずに再度突き出し量を再調整するような2度手間を避けるためです。
下記の画像のように、敷板の上に作成したトリマーガイドを置き、そのガイドのベースプレートの上にトリマーを置きます。
トリマーの突き出し量調整ノブを緩め、そっと敷板の上にビットを下ろして接着した位置がビットの突き出し量になります。
【ストレートビットの突き出し量】
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切り出すトリマーガイドのベースプレートの板厚は 5.5mm です。
1度で切断することは不可能ではありませんが、2回に分けた方が作業音も小さくなり、ビットへの負担も少なくなります。
3mmの分割加工治具を使用することをお勧めします。
分割加工治具のことを初めて聞いた方は、別の記事「自作トリマーガイドの使い方 |もっと使いやすく、もっと効率的に」にトリマーを安全に効率よく使う秘訣が色々書いてありますので、参照してみて下さい。
分割加工治具は、「治具」と言っても、3mm 〜 5mmの板厚の端材をトリマーガイドのベースの上に置くことで、ビットの突き出し量を敷いた端材の厚み分だけ上に上げ、ビットの突き出し量を変える手間を省くものです。
【分割加工治具】
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トリマーのビットが切り出すガイドのベースプレートに接触していないことを確認し、トリガーのスイッチを入れ、モーターの回転が一定になったら1回目の切断を開始します。
トリマーの下部を持ち、トリマーが傾かない左側のガイドフェンスにトリマーを沿わせることを意識しながら前進させて加工を進めて行きます。
【トリマーを持つ位置】
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ビットが回転したままの状態で、トリマーを動かすことは非常に危険です。
そのままの状態でトリガーをオフにして、モーターを停止させます。
ベースプレートの端まで加工が終わったら、2回目の加工を開始します。
留意点は1回目の加工と同じです。
2回目でベースプレートは完全に切り離されるので6mm側の加工は完了です。
ガイドの側面のどちらのビット用のガイドなのかが混乱しないように、ベースプレートにマジックで、ビットの径・ベースプレートの板厚を記入しておいて下さい。
トリマーのビットを8mmのストレートビットに交換し、その後の切り出し方法は、6mmと全く同様です。
加工完了後に、ビットの径・板厚を記入しておいて下さい。
ストッパー部の製作手順
ストッパー部の設計図
【ストッパー平面図(前部)】
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【ストッパー平面図(後部)】
【ストッパー側面図】
*ストッパーの前部と後部は、ベースプレート部が逆向きになるので注意して下さい。
*設計図の側面図のオレンジ色がストッパー部で、黄色部分はトリマーガイド部になります。
イメージしやすいように、画像も添付しておきます。
向かって右が前部(加工の終了地点)で左が後部(加工の開始地点)で使います。
【ストッパー部の完成品】
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ストッパー部を組み立てる
ストッパーは、一番下のベースプレートの向きが前部用と後部用で違うだけで、他は寸法も全て同じです。
下記の順番で、各板材を木工用ボンドで接着して行きます。
・ストッパーベースプレート
シナ合板(合板):5.5mm x 50mm x 85mm
・ストッパー中部
パイン材:18mm x 50mm x 35mm
・ストッパー段差アジャスト部
檜工作材:4mm x 11mm x 2枚 (下記画像のように、下のパイン材の両端に接着させていきます)
【檜工作材の接着】
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・ガイドフェンスとの結合部
固定用M10ネジを通す直径10mmの穴を開ける
位置:長さ132mmの端から25mm、幅35㎜の17mm
シナ合板(合板)5.5mm x 132mm x 35mm
貫通する穴あけの際には、下に端材を当てて行なうと、欠けやバリの少ない綺麗な穴が開けられます。
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以上を木工ボンドで貼り合わせ、クランプで固定して乾燥させて行きます。
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ネジ・ボルト・ナット・ノブの組み立て
【M10のボルトをノブの中に押し込む】
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ボルトをノブの奥までしっかりと押し込み、ノブとボルトが一体なって動くことを確認して下さい。
その後ノブカバーをはめ込みます。
【ノブカバーの取り付け】
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【ボルトノブ・ワッシャ・ナット】
ボルトノブの下に平ワッシャ、ナットの順にはめ込みます。
ストッパー部は中央のガイドスフェンスの端から入れて行くので、差し込みやすいように、この時点ではナットは浅めに締めておいて下さい。
ストッパーのベースプレートを切り出す
ストッパー部の一番下のベースプレート部の板厚は5.5mmになっていますが、それはトリマーが上に乗った時に傾かないようにトリマーガイドと同じ板厚にしてあります。
もし、トリマーガイド本体の板厚を5mmで作成した場合には、ストッパーのベースプレートも同じ5mmにして下さい。
ストッパー部の組み立てが完成したら、ストッパー前部用と後部用を中央のトリマーガイドの端から差し込んで下さい。
その際、ボルトに締め込むナットをある程度締め込んでもストッパーが自由に動く位置までナットを締め込んでおいて下さい。
前部用と後部用のストッパーがはめ込めれたら、一定の間隔に離してストッパーのノブをしっかりと締めて、固定して下さい。
これから、前部用のストッパーと後部用の間にトリマーを入れ、ストッパーのベースプレートをトリマーガイドと同様に切り出して行きます。
1)分割加工治具を使う
これから切り出して行くストッパーのベースプレートの厚みは5.5mmです。
トリマーガイドと同じように分割加工治具を使って2回に分けて加工していきます。
ビットの突き出し量は、トリマーガイドのベースプレートを切り出した時と同じように現物合わせで決めて下さい。
2)トリマーガイドを作成した時と同じ直径のビットを使う
片側のストッパーを切り出す時に使用するビットは、トリマーガイドを切り出す時に使用したビットを使います。
どちらの面のストッパーを切り出しているかを意識して、トリマービットの取り付けが間違っていないかを確認しながら加工を進めて下さい。
トリマーのベースプレートとストッパーのベースプレートの上に分割加工治具を敷き、中央のガイドフェンスに沿って少し前方のストッパー寄りにトリマーを置きます。
【切り出し加工時のセッティング】
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既にトリマーガイドの端は切り出されいますが、念のため、トリマーをベースプレートの上のガイドフェンスから少しだけ離れた位置に置き、トリガーを入れます。
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トリマーをガイドフェンスに沿わせて前進させて行くとストッパーのベースがある位置で切り出しが開始されます。
すぐにストッパーのガイドフェンスに当たるので、そこから右方向にトリマーをゆっくりと動かして行きます。
最後のストッパーのフェンスがなくなる位置の加工は、トリマーの姿勢が不安定になるので、トリマーをしっかりと支えながら移動させ、切断を完了させて下さい。
2回目の加工は、分割加工治具を外し、上記と同じ要領でトリマーを動かし、加工は完了です。
後で混乱しないように、切り出したストッパーにはビットの径と前方用と明記しておいて下さい。
後部用ストッパーの切り出し加工は、トリマーを後退させて行なっていきます。
ビットの回転方向とトリマーを動かす方向は、前進させる時とは逆になるため、トリマーが右方向に動こうとします。
トリマーをしっかりと押さえて加工して下さい。
電源は入れずにトリマーを何度か斜めにしてから接地させ、ビットがベースプレートに触れずに弧を描いて動く位置を確認して下さい。
位置が決まったら、トリマーを斜めにした状態でトリガーのスイッチを入れ、ゆっくりとトリマーを接地させて行きます。
暫く後退させるとストッパーのベースプレートの切り出しが開始されます。
そのまま、トリマーをストッパーのガイドフェンスに当たるまで後退させて下さい。
ガイドフェンスに当たってから、トリマーをストッパーのガイドフェンスに沿わせたまま、右方向に動かして行きます。
ストッパーのガイドフェンスがなくなる箇所は、前進の時と同様にトリマーの視線が不安定になります。
トリマーの姿勢が傾かないよう、しっかりとトリマーを支えて移動させて下さい。
【後方ストッパーの1回目の加工が完了した状態】
2回目の加工は、分割加工治具を外し、上記と同じ要領でチルトイン加工をして、加工は完了です。
こちらのストッパーにも、ビットの径・後方用と明記しておいて下さい。
両のストッパーのガイドフェンスに当たった位置から、右方向に加工された跡は、どちらも直角ではなく弧を描いています。
これは、ストレートビットの回転が円運動をしているためにいつも起こる現象です。
ただ、このままだと溝の開始位置と終了位置に引かれた墨線が見にくくなるため、
この弧を描いている加工跡を修正します。
【弧を描いた加工跡】
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弧を描く加工跡に、他の加工跡から延長した直線上に墨線を引き、下に敷板を置き、墨線上の上からノミを当てて切り落として行きます。
【ノミで補修】
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女性の場合には、軽く金づちで叩くか、男性なら上から手で強く押し込めば修正出来ます。
もう片方の側面も、上記と同じ手順で切り出しを行ない、完成後にはビットの径・前方・後方をマジックで明記しておいて下さい。
確認作業と補修
6mmと8mm用の2セットのストッパーが完成したら、端材を使って、墨線上にストッパーを固定した状態で加工し、墨線の通りに正確に加工が出来ているか確認しててみて下さい。
今回紹介した設計図の寸法は、両側が6mmと8mm用のストレートビットを使用するものです。
もし、使用するビットが10mm以上のものや3mm用のものを作成する場合には、ベースのトリマーガイドの幅が大きく違って来ます。
それに伴って、ストッパーのベースプレートの幅が変わって来ます。
ご自分の作成したいガイドのビットの径に応じて、設計図の数字を変更した上で作成して下さい。
最も生じやすいものとしては、本体のベースプレートとストッパーのベースプレートの間に隙間が出来てしまうことかと思います。
ストッパーのボルトノブの固定がしっかりしていれば、加工には大きな支障はないはずですが、気になる方もいるかもしれません。
隙間がないことのメリットは、ストッパーのベースプレートが、本体のトリマーガイドのベースプレートに密着するので、直角の精度が高まります。
気になるようでしたら、ボルトノブに開けた穴を電動ドライバーで左右に広げるようして大きくすることで、ボルトノブを締める箇所が左右に動くようになり、隙間が解消出来ます。
まとめ
今回紹介したストッパーは、長年自分で何とか出来ないものかと構想を練っていた治具です。
使い勝手のいい治具が完成出来たことで、きっとトリマーを使って板材の途中から途中で終わる正確な溝加工が出来るストッパーを探していた方にはお役にたてるのではないかと思っています。
レベルとしては、初心者の方向けではない中級者、上級者向けの内容ですが、私のサイトの記事を読んだ時点では初心者の方でも、きっと使いたくなる治具だと思います。
ぜひ、皆さんがこの治具を使って、完成した作品が加工跡のない、すっきりとしたデザインの作品を作り上げていけるようになることを願っています。
以上