ジグソーが木工初心者にお勧めな6つの理由
ジグソーは電動ドライバーに次いで木工の初心者にはお勧めな工具です。
丸ノコは、少し敷居が高いと感じている方にも、丸ノコより気軽に扱える工具です。
そのお勧めな理由は下記6つの点があるからです。
トリマーの刃は、薄く細く上下に動くシンプルな構造なので、円盤上の刃が高速で回転する丸ノコよりも危険度が少ない
・ジグソーの回転数:2,000〜3,000 /毎分
・丸ノコの回転数:4,000〜5,000 /毎分
・ジグソーの平均的な重量:2㎏前後
・丸ノコの平均的な重量:3㎏前後
・軽量なことで、木工初心者や女性にも取り回しが容易
・ジグソーだけで直線、曲線、切り抜き等多様な切断が可能
・切断面を45度等斜めにした切断も可能
・ジグソーの刃の交換は、丸ノコよりも簡単
・金属用の刃に交換することで金属の切断も出来る
ジグソー直線用治具を自作することで、墨線にガイドを当てることで、直線の切断が可能
・ダイヤルで刃の回転数を変更出来る機種もあり、作業音を調整出来る。
(回転数が変更出来ない機種でも別の記事「木工用電動工具と手工具の比較」で紹介している「スピードコントローラ」で変更可能)
・丸ノコの作業音が気になって、自宅で使用することを躊躇している方には、電動工具で綺麗な切断作業が実現可能
これからジグソーを買う方は、最初から回転数が調整出来る機種を選ぶのがお勧めです。
ジグソーの刃の取り付け
ジグソーは、本体を前進させて切断して行きます。
従って刃の向きは進行方向の前向きです。
ジグソーの刃の取り付けと外し方は、機種によって、ネジで行うものとワンタッチで着脱が出来るものがあります。
ワンタッチで着脱出来る機種は、若干値段が高くなりますが、刃の着脱が楽になるので、ワンタッチ式のものがお勧めです。
詳細はお持ちのジグソーの取り扱い説明書に従って下さい。
ここでは、私の持っているジグソーはかなり古いものですが、それを使って説明を進めていきますのでご容赦下さい。
最新の機種とジグソーの仕組み自体は同じなので、どんな工具なのかを理解して頂けたらと思います。
下記の画像のように、刃の取り付け位置にある2つのバックアップローラーに刃の背の部分を中央に挟み込むようにして奥までしっかりと差し込む
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ネジ式の場合は、レンチでネジをしっかりと締める
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切断面がきちんと直角になるか、ベースプレートを上向きにし、刃とベースプレートが直角に止まっているかスコヤを当てて確認する
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ジグソーを使う時の7つの注意点
ジグソーの難点は、回転数が丸ノコよりも遅いため、購入時に同梱されている刃で切断すると、切断面が荒く、バリが多くなってしまいます。
ジグソーの「細目・仕上げ用」の刃は、刃数が多く切断面が綺麗になり、切断後に切断面を修正する手間がなくなるので、購入することをお勧めします。
【左:付属の刃 右:細目・仕上げ用の刃】
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電動工具全般に必要な注意点です。
板材に接触したまま電動工具のトリガーを入れると、キックバックを起こします。
ジグソーは、刃の出具合は、固定されています。
刃は大きく下に出ているため、切断時に刃が加工する板材以外に接触しないか必ず確認して下さい。
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切断する板材は、刃の空間を確認した後、原則クランプで固定して下さい。
そのことで、墨線に沿わせる本体の動きに集が中できて、加工が安定します。
特に円を切り抜く場合は、刃先が大きく動きながら切断して行くため、刃先が接触しない位置を確かめながら、クランプの位置を変えながら加工を進めて行きます。
トリガーを押したりゆるめたりしながら、適度に刃の動く速さを調整しながら進めて下さい。
丁度、車のアクセルを空ぶかしするようなイメージです。
曲線を切断する時、どうしても神経が墨線と刃先のある前方に行ってしまいがちになります。
すると前方の刃先がある方に力が入ってしまい、トリマーが前に傾いてしまうことがよくあります。
ジグソーの曲線の切断は、前方ではなく、後方部を移動させて刃の向きを変えて行くというイメージです。
車で言えば、ハンドルを切りながら後輪が滑るドラフト走行のようなイメージです。
慣れないうちは、曲線に沿ってジグソーを動かすことに慎重になってしまい、いつの間にか刃の上下運動が低速になりがちです。
刃の動きがゆっくりになってしまうと、切断がスムーズに行かなくなります。
曲線部分は、トリガーを押し込んで刃の回転を上げながら切断して下さい。
*ジグソーの刃が万が一折れても、危険度はそれほどではありません。
ジグソーを使う秘訣
ジグソーを使っている動画を見ると片手で操作している方が多いですね。
でも、木工初心者の方がいきなり片手でジグソーを動かしても、きっと綺麗に切断出来ないと思います。
この記事読んでいる方だけに、そのジグソーを取り扱う秘訣を教えちゃいましすね!
それは下記2点です。
ジグソーを片手で持って切断を開始したら、必ず、もう一方の指先で、ジグソーのベースプレートの中央付近に添えて下さい。
そうすると本体が安定して移動して切断が進んで行きます。
中央付近なら、刃から大分距離があるので、怖くないと思います。
丸ノコと同様、ジグソーの刃とベースプレートがぴったりと板材に密着して動くことで、切断面が直角に切断されて行きます。
動かす速さは、墨線の沿ってゆっくりで結構です。
でも、トリガーは目一杯押し込んで下さい。
回転が遅いと切断面が荒くなってしまいます。
ジグソーに慣れないと、墨線の曲線を意識しすぎジグソーの前方を動かそうとしてしまいますよね?
それをすると、刃に大きな負担が掛かってしまいます。
逆にジグソーの後方を動かす意識で動かすようにして下さい。
そのことで、ジグソー全体が向きを変えて行きます。
後は、ポイント1と同じです。
もう片方の指先をベースプレートに添え、ジグソーの姿勢を安定させて下さい。
曲線の切断の場合、トリガーは一辺倒ではなく、押したり・・離したり・・適度に調整しながら進めて行くのがコツです。
カーブのきつい箇所ほど、トリガーは押し込むようにして下さい。
大丈夫!そんなに怖がらなくてもジグソーの刃は簡単に折れませんから・・
この2つの秘訣を頭に入れながら、何度か端材で練習すると見違えるように綺麗な切断が出来るようになっています。
ジグソー直線用切断治具
ジグソーの扱いに慣れていない木工初心者の方には、ジグソーを使った直線の切断を確実にするためには、フリーハンドではなく、直線用治具を使うことをお勧めします。
部材
・板厚 5mm x 150 x 250mm 合板1枚
・20mm x 20mm x 470mm の 角材1本
(角材は曲がっていると直線用のガイドにならなくなるので、留意して下さい)
ジグソー直線用治具の仕組み
この治具は別の記事で紹介しいる丸ノコ治具とトリマー治具と同じ仕組みのものです。
このジグソー直線用治具もガイドフェンスからジグソーの刃までの距離よりも幅の広い底板をジグソーのベースプレートの左側をフェンスにぴったりと沿わせて切断して治具を作って行きます。
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治具の完成後は、治具を墨線にぴったりと合わせてベースプレートをガイドフェンスに沿わせてを前進させれば墨線上を刃が通ることになるという仕組みです。
ジグソーの直線用治具の作り方
1.底板にガイドフェンスを固定する
治具の大きさは自由です。
治具の縦の底面の長さは自分が良く使う板材の長さで結構です。
私は、フェンスの左側に手を押し当てるために、少し大きめに幅を取りましたが、クランプで固定するのであれば、もっと幅を小さくしても結構です。
縦のガイドフェンスと底面の合板の接着は、私のジグソーは軽いので、両面テープだけそれなりの強度を維持してくれています。
少し重いしっかりとしたジグソーをお持ちの方は、木工ボンドで接着させるか、両面テープで接着した上、裏から皿取りビットで座ぐりをした上でネジ止めをした方がいいかもしれません。
ジグソーを丸ノコの代用として使う場合は、長さが長いもの・中程度・短いもの、金属切断用と色々用意しておくと便利です。
2.ガイドフェンスの固定位置の注意点
底面となる合板に角材を固定する位置は、ジグソーのベースプレートから刃の距離までよりも10mmほど大きくして下さい。
この治具の仕組みは、下記画像のように自作の丸ノコガイドと同様で、角材のガイドに沿わせて治具の底面を切断して作るためです。
3.治具の底板を切断する
1)ガイドフェンス沿わせてジグソーのベースプレートの左側をぴったり沿わせる
2)ジグソーの刃と底板が接触していないことを確認する
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3)トリガーを押して、刃を動かす
4)ジグソーのベースプレートがガイドフェンスから離れないように注意しながら、ジグソー本体を前進させ切断を開始する
*トリガーは、目一杯押しながら、ジグソー本体はゆっくりと前進させて下さい
5)切断の完了(治具の完成)
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ジグソー直線用治具を使用する時の留意点
治具を使う場合、ジグソーのベースプレーととガイドフェンスがぴったりとフェンスに沿って動く必要があります。
特にジグソー本体の後ろ側がフェンスから離れてしまうことが多いので、留意して下さい。
この点も丸ノコ治具とトリマー治具と同様のこの治具の特徴です。
特に金属用の切断に治具を使う場合、金属用の刃の厚みの確認をして下さい。
ジグソー直線用治具の使い方
下記画像のように、右端に切断したい墨線が書かれた箇所をジグソー直線用治具を使い、実際に切断する手順を説明して行きます。
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使用手順
1.ジグソーの刃が切断した時に、刃が接触しない箇所に板材を置く
2.ジグソー直線用治具の右端を墨線にピッタリと合わせる
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3.ジグソーのベースプレートの右側と治具のガイドフェンスに隙間がないようピッタリと置く
4.ジグソーの刃と板材が接触していないこと、刃の動いて行く方向に接触するものがないことを確認し、トリガーを入れて、ゆっくり板材に近づけて行く
5.切断が開始してからは
・トリガーは最大の回転数を保つように押し続ける
・ジグソーのベースプレート全体が、治具のガイドフェンスから離れないように意識しながら、ジグソーを前進させて行く
6.切断が終了したらトリガーを離す
【切断完了後の状態】
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木工用ジグソーの四角形の切り抜き手順
下記画像のような、板材の内側に四角い切り込みを入れたい時の加工手順を説明して行きます。
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切り抜き手順
1.四角く書かれた墨線の斜めに向かい合う角にジグソーの刃が入れられる穴を電動ドライバーで開ける
*私のジグソーの刃の幅は6mmなので、少し余裕を持たせて8mm径の木工用穴あけビットを使用
*穴を開ける位置は、墨線の少し内側に開ける
(墨線のギリギリに開けようすると、四角形の外側に穴が出てしまう危険がある)
*慣れるまで、四隅に穴を開けても可
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2.ジグソーの刃を穴の中に入れ、墨線まで双方向に切断していく。
*刃が周囲の板材に触れていないことを確認し、トリガーを押し込む
*最初の切断はいきなり墨線上を切断しようとしないで、一度斜めに墨線に寄せ、刃が墨線上になってから、墨線の直線上を切断して行く
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3.トリガーを押し込んだまま、本体をゆっくりと動かし、直線上をきちんと動くようにジグソーを移動させて行く
*ジグソーを片手だけで動かすと、切断しようと意識で持つ手に力が入り、ジグソーが傾いてしまうことがある。
左の指先でジグソーのベースプレートに上から押さえるように軽く添えるとジグソーのベースプレートが板材全体に付いた状態になり、切断が直角を確保した安定した加工が出来る
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*慣れないうちは、ジグソーの直線切断用治具を使用しても可
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5.四隅が切り落とせた後、角のある箇所を再度墨線に合わせてジグソーで切り取る
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6.#120程度の荒さの紙やすりで、切断面全体のバリ取りや修正を行なう
*紙やすりを適当な大きさの材に巻き付けて擦ると、紙やすりの面の平面性が保てる
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私は下記画像のように、丸棒は小さな穴用、トイレットペーパーは円や曲線用に、角材は平面用にそれぞれ適当#120の紙ヤスリを巻いて切断後の修正や仕上げに使っています。
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木工用ジグソーの円の切り抜き手順
下記画像のように、板材の内側に円を切り抜いて行く手順を説明します。
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切り抜き手順
1.墨線の円の少し内側の位置に電動ドライバーで径8mmの穴を開ける
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2.穴の中にジグソーの刃を入れ、板材に刃が接触していないことを確認し、トリガーを押し込む
*切断の開始は、最初から無理に墨線に沿わせようしないで、画像のように斜めに直線で墨線に向けてスタートし、その後墨線の合わせて移動させて行く
*ジグソー本体が傾かないように、左手の指先をベースプレートに添えておく
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3.曲線に沿わせて、ジグソーの刃先を動かすのではなく、ジグソー本体の後ろの部分を動かしながらジグソー全体で墨線に沿わせて行くようにして、ゆっくりとジグソーを進めて行く
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4.切断完了後、必要に応じて切断面を#120程度の紙ヤスリで切断面を修正する
*曲面を紙やすりで修正する場合、紙やすりをトイレットペーパーの芯に包むのがお勧め
局面に弾力があり、太さも変更が可能
木工用ジグソーの三角の切り込み手順
クリスマスツリー等の角が三角になった箇所の切断の手順を説明します。
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切り込み手順
1.切断面する板材とジグソーの刃が接触していないことを確認し、ジグソーのトリガーを押し込む
*ジグソーのベースプレートに左手を添え、ジグソーの本体が斜めに傾かないようにしてゆっくりと墨線に沿ってジグソー本体動かして行く
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2.頂点まで来たら、一度切断を止める
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3.三角の別の底辺から頂点に向かって切断して行く
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4.必要に応じて頂点の角や墨線線の切断面を#120程度の紙ヤスリで修正する
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木工用ジグソーの波型の切断手順
下記の波型のような曲線を切断する場合の手順を説明して行きます。
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切断手順
1.ジグソーの刃と板材が接触していないことを確認し、ジグソーのトリガーを入れる
2.切断中は、ジグソー本体が傾かないように左手を添え、曲線をジグソーの刃先ではなく、後ろのお尻の部分を動かすようにしながら墨線に沿って切断していく
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3.必要に応じて#120程度の紙ヤスリで切断面を修正して行く
*曲面を紙やすりで修正する場合、紙やすりをトイレットペーパーの芯に包むのがお勧め
局面に弾力があり、太さも変更可能
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木工用ジグソーの加工例
下記は自宅の部屋の工房に2台の電動ドライバーを掛けられるようにフックを作成したのものです。
18mmの板厚のパイン材の端材を利用し、2台の電動ドライバーのそれぞれの前部と後部を現物あわせで曲面を取り、ジグソーで切断しました。
その後サンダーで仕上げた後、壁の板材と同じオイルステンで塗装しました。
壁の板材との接着は、前後それぞれに8mmのダボを2本使って木工用ボンドで接着してあります。
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まとめ
ジグソーは、危険度も低く、軽いためにとても取り扱いの楽な電動工具です。
しかも、直線・曲線・切り抜き等、多彩な切断加工が可能なので、木工初心者の方にもお勧めです。
また、ジグソーの回転数は調整可能なので、木工作業をする環境の騒音に気を使う方にも使い方の秘訣さえ分かれば、早く綺麗な加工が出来ますのでお勧めです。
ジグソーの使い方の秘訣は2つでした。
1.ジグソー本体を持つもう片方の指先で、ベースプレートに添え、ジグソーの姿勢を安定させること
2.曲線部分は、ジグソーの前方ではなく後方を動かし、本体全体で刃の向きを変える
ジグソーを使いこなし、どんどん加工の幅を広げて行って下さい。
以上