このサイトでは、木工のDIY初心者の切断作業は、正確で効率的な作業が出来る「電動丸ノコ」をお勧めしていますが、作業環境が住宅密集地の集合住宅等に住んでいると、丸ノコを動かすことで発生する騒音が出せない方も多いかと思います。
多くの場合、切断作業は板材を購入したホームセンターのカットサービスを利用すると、正確な各部材の切り出しが出来て便利です。

確かに、ホームセンターのカットサービスは便利だけど、いつの間にか端材がどんどん増えて、これを有効活用しないと・・

どうしてものこぎりを使うことがあるけど、真っすぐに切れないのよね・・

慎重に切って成功したと思っても、切断面が斜めになってしまう・・
のこぎりの切断が上手く出来ないので、自分の不器用さに自信をなくされている方も多いと思います。
私も最初はそうでした。
ホームセンターのカットサービスはとても便利ですが、難点は、新しい木材を買った時だけしか利用出来ないことです。
いつの間にか増えてしまった端材を利用するには、どうしても自分で切断する必要が出て来ます。
でも、のこぎりはとても難易度の高い工具なので、中々正確な切断が出来ませんよね?
この記事では、難易度の高いのこぎりの使用を木工DIYの初心者の方でも、丸ノコの精度に近くなるようなの正確な直線の切断と切断面の直角が確保できるコツをお話しして行きます。
のこぎりの精度の高い切断が出来る3つの秘訣
のこぎりの直進性と直角の精度を落とさずに使うコツは下記3点です。
良く切れるのこぎりを使うこと
良くきれるのこぎりを使うことで、切断面が綺麗に仕上がり、その後の修正の手間がなくなります。
同時に良く切れるのこぎりを使うことで、安全な切断作業が出来ます。
カッターナイフと同様、切れないのこぎりは不必要な力が入ってしまい、けがをする可能性が高まります。
良く切れるのこぎりとは、高価なものを使うのではなく、替え刃式のこぎりを使用することです。
切れなくなった時点で刃が交換出来れば、絶えず切れるのこぎりを使うことが出来ます。
替え刃式のこぎりは、ゼットソーの8寸面がお勧めです。
一般的な「ゼットソー265」よりも目が細かく綺麗な切断面になります。
ソーガイドを使う
ベテランのプロではない我々は、迷わずソーガイドを使いましょう。
ソーガイドの方法には、下記の2つがあります。
上記1.の端材の当て木を使うことは、手軽な方法ですが、やはり市販のソーガイドは便利な機能も付いているので、その時の状況に応じて両方を使いこなすのがベストでしょう。
切断する板材をクランプで固定する
何らかのソーガイドを使っても、切断する板材が切断途中で動いてしまうと、正確性が出ません。
出来るだけ、切断する板材をクランプ等でしっかり固定する必要があります。
2 x 4 材で当て木をする切断の手順
【墨線ぴったりに2 x 4 材を固定】
のこぎりを2 x 4 材に当て、斜めに倒しながらゆっくりと切断を開始します。
切断が進み、切断面が出来始めてから、のこぎりの傾きを並行・後方斜めと変えながら切断を進めて行く
切断が完了した瞬間、木片が落下して、切断面下部に欠けやバリが発生するのを防ぐため、片手で切断箇所を支えて落下を防止します。
【切断の完了】
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【切断した箇所の直進性の確認】
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【切断面の直角の確認】
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市販のソーガイドの使い方
ソーガイドの設定の確認
ソーガイドを使う前に、ソーガイドの精度がきちんと設定されているかどうかを確認する必要があります。
ここでは、私自身が日頃使用している岡田金属工業所の「ソーガイドF」の設定方法を説明して行きます。
精度の確認は下記の2点です。
ソーガイドは色々な角度の方向性の切断に対応しています。
最も多いのは、板材の1辺に対して平行、もう1辺に対しては直角な真っすぐな直線の切断です。
その次に多いケースは額縁の作成のために切断する45度方向への切断でしょう。
【ソーガイドで45度方向の切断をした例】
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尚、この45度の切断が必要になる額縁の四隅を正確な45度で切断出来る治具を別の記事で紹介しています。
額縁を自作することに興味のある方は、下記記事も参考にしてみて下さい。
自作の45度切断治具を使って隙間のない額縁を作る秘訣(額縁シリーズ1)
切断方向の直進性の確認方法
ソーガイドを使う時には、板材を位置決めストッパーにぴったりと付けて切断して行きます。
その位置決めストッパーを基準に、のこぎりを差し入れるガイドプレートが直角になっていれば、まっすぐな直線の切断が可能になります。
したがって、下画像のように板材を押し付ける位置決めストッパーとガイドプレートが直角になっているかを確認する必要があります。
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具体的な確認方法は、スコヤか差し金を位置決めストッパーにピッタリと付けて確認します。
【直線性の確認例】
(画像の例:少し右が上がっている状態)
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(修正後)
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切断面の直角の確認方法
次に、切断面が直角になるかの確認をして行きます。
ベースプレートとのこぎりを入れるガイドプレートに差し金を当て、直角を確かめて行きます。
直角以外の傾斜を付けての切断の場合も、要領は同じです。
【切断面の直角の確認例】
(上部に少し隙間があり90度未満の状態)
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(修正後)
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以上の2点の確認で、精度の高い直進性と直角の切断が可能になります。
ソーガイドの切断のコツ
・墨線の真上を切断すると、のこぎりの刃の厚みの半分の厚みだけ短く切断されてしまう
・特に板材の厚みが10mm以上の場合、クランプで固定することをお勧めします。
特に女性の方にはクランプで固定すると板材が安定し、切断が楽になるのでお勧めです。
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・のこぎりは、手前に引く時に切断されます。
・絶えずソーガイドに沿って、のこぎりを動かすことを意識する
板材に平行に刃を置いて引くのではなく、のこぎりの刃を斜め前方、後方とのこぎりの刃の道をそれぞれ付けながら切断を進めて行く
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板材が下に落ちないように、片手を添えて板材の落ちるのを防ぐ
*特に切断する箇所が大きい場合、全ての切断が終わっていない段階で板材が重みで落下してしまい、切断されていない箇所がバリや欠けが発生してしまう場合があるため
ソーガイドの設定が正しく出来たのか、墨線の引かれた箇所をソーガイドを使い、切断してみました。
結果は、直進性も切断面の直角もきちんと確保された切断が出来ました。
特に新しい角度に設定し直した後は、このように試し切りをしてみることをお勧めします。
【切断前】
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【切断後】
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切断する長さが長い場合
1.付属の平行スライダーをベースプレートの後方に取り付けます。
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2.切断する墨線の下が障害物がない位置まで作業台の右端までずらします。
左側にガイドとなる真っ直ぐな板材(スケールでも可)を置き、ガイドプレートにのこぎりを入れ、墨線上に刃が来る位置にガイドとなる板材(スケール)が来るようにクランプで固定します。
3.ゆっくりとのこぎりを動かし、切断面が正しいことを確かめながら切断を開始する
4.少しづつ左側のガイドにソーガイド本体を沿わせつつ徐々にソーガイドを手前に動かしながらのこぎりの切断を進める
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【半分ほど切断が進んだ状態】
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5.のこぎりは、ソーガイドが動いても絶えず円の中央部分の直下で切断していることを意識する
6.切り終わりは、のこぎりの動きをゆっくりと動かし、片手で切り落とす材を支えるように添える
まとめ
替え刃式のこぎりと何らかのソーガイドは、必須アイテムです。
ただ、特にソーガイドは使う前提として、直進性の角度と切断面の角度の確認作業をしないと、精度の高い切断作業は不可能です。
特に、45度の切断は切断の幅が大きいものを切断するとその角度の誤差が僅かでも、誤差はどんどん累積してしまい、隙間の空いたものになってしまいます。
その典型が額縁の製作時に実感します。
逆に、額縁の45度の接着箇所が隙間なく完成されたら、何とも言えない満足感が得られます。
そのためには、ソーガイドの角度調整はとても重要です。
木工作業は論理の積み重ねです。
ある種、根気のいる作業もありますが、お互いに素人ながら、目指す地点は妥協せず、精度の高い木工作業を目指して行きましょう。
皆さんの大切な思い出の写真や絵を飾る額縁が出来たら、是非教えて下さい。
額縁の製作は、記事の中で紹介した岡田金属工業所の「ソーガイドF」でも可能ですが、のこぎりを使った額縁専用の治具等を別の記事で紹介しています。
併せて参考にしてみて下さい。

以上