電動ドライバーの木材の穴あけ作業の手順
私が最初にAC電源付きの安いリョービ製の電動ドライバーを購入して初めて使った時、その便利さと手軽さにびっくりしました。
家具店で購入した廉価な組み立て式家具のネジ止めをした時に、その威力を実感しました。
今までは手でドライバーを回しており、ネジ止めの箇所が多い時には、終わると手が痛くなっていました。
ところが、電動ドライバーを使うと1つのネジ止があっと言う間に終わってしまい、何だか自分がプロの家具職人になったような気分になりました。
思えばその初めて手にした電動工具の経験が、木工作業の面白さに興味を持ち始めたきっかけのように思います。
まだ、お持ちでない方は是非購入し、その便利とさと威力を実感してみて下さい。
電動ドライバーの特徴とどんな電動ドライバーがお勧めかの詳細はこちらの記事を参考にしてみて下さい。
では、その電動ドライバーでする代表的な加工の1つである、穴あけ作業について説明していきます。
まず、電動ドライバーで穴あけをする際に必要な機材を紹介します。
電動ドライバーの木材の穴あけ作業に必要な周辺機材
穴あけ用ビット(木工用)
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電動ドライバーの先端に、その用途に応じて付け替える刃先の部品をビットと呼んでします。
一度ホームセンターでそのビットの種類を見ると、様々な大きさや素材のものがあって、戸惑うかもしれません。
木工作業の穴あけ作業に必要な最も基本的なビットは、「木工用穴あけビット」です。
先端にはキリのような細い突起があるので、予め穴あけ位置に目印の小さな穴を開けておくことで、ビットをその目印の上から押し付けた状態でビットを回転させることで。目印からずれないで穴あけ作業が出来ます。
ビットの中心を囲むように鋭利なうずまき状になった、材の繊維を削る「ケガキ刃」と先端で材のケガキした部分を削り取るスクイ刃によって、木材に穴を開けて行きます。
センターポンチ
ドリルで穴あけをする際には、このセンターポンチで穴を開ける位置に目印を付けます。
これをしておかないと、ビットの先端が滑り、正確な位置に穴あけをすることが出来ません。
キリのような先の尖った工具で代用も出来ますが、印を付けた箇所に先端を当て、ワンプッシュすることで、穴あけ箇所の位置を示す小さな目印の窪み作業が連続して出来るので効率的です。
【センターポンチで印を付ける】
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電動ドリルスタンド
【ドリススタンド】
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電動ドライバーの穴あけ作業に共通して要求される精度は、穴の角度が板面に対して垂直に開けられていることです。
特に、このあとの記事で説明している「ダボ穴加工」ではその垂直に穴を開ける精度が悪いと、剥ぎ合わせた板面にねじれが生じてしまいます。
補助ツールなしで、人間の感覚で真上から電動ドライバーをの先端のビットを押し込んでも、よほどの経験を積まない限り板面に垂直に穴あけ作業をすることは不可能です。
そのドリルドライバーと板面を垂直に保ったまま、穴あけ作業を補助するものが、ドリルスタンドです。
【角度調整ネジ】
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この画像のドリルスタンドの場合は垂直以外の角度調整も可能で、目盛りをその任意の角度にすることで、斜めにした穴開き加工も可能です。
また、穴の深さも深さ調整ネジでドリルビットの先端がどの深さの位置に来ると止めるか固定することで、調整可能です。
この機能は、貫通させない座ぐりの穴を空ける場合にはとても便利です。
穴あけの種類ー座ぐりと貫通穴
穴あけの種類には、「座ぐり」と「貫通穴」の2種類があります。
1.座ぐり
座ぐりとは、穴を貫通させずに一定の深さで止める加工のことを言います。
よく、見かける座ぐりの穴は、組み立て家具のネジを留める箇所に座ぐりの穴が開いています。
穴の深さは、ネジで止めるとネジの頭が一段低くなり、さらにネジの頭を隠すために、上から木目のプリントされたシールを貼って行きます。
可動式の扉や引き出し等の場合では、ネジ留めた箇所の上を他の部材が乗る場合には、そのネジの頭が出っ張っていると、邪魔になります。
また、底板をネジ止めした場合、その底面は置く場所に水平に接地する必要があります。
底面にネジ留めした場合には、必ず座ぐりをして、ネジの頭を完全に底面から沈ませる必要があります。
このように貫通せずに、ネジ止めした箇所や金具を一段低くするような加工あ座ぐり加工です。
ネジの場合では、座ぐりの穴の大きさは、使用するネジの頭の直径よりも1ミリから2ミリほど大きいサイズの直径のビットを選びます。
画像は、、直径9ミリまでのネジの頭を落とし込むネジ専用の座ぐりビットです。
特に接地する底板にネジ止めをする際に、このビットがあると重宝します。
【座ぐりビット】
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座ぐりの穴あけの注意点
ネジの頭を沈める座ぐりの目的は、ネジの頭を木の表面から沈めることです。
感覚で穴開けたりすると、うっかり穴を貫通させてしまうことがあります。
良く使われる方法は、ビットの先端から座ぐり加工で止めめる穴の深さの位置に目印でビニールテープを巻くという方法があります。
ただ、この方法だと複数の穴を開けると、いつの間にか目印のテープの位置が上に押し上がってしまうことが良くあります。。
次にこれを防ぐ方法を紹介します。
ドリルストッパーを使う
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別の記事で紹介するダボ用マーカーポンチを使った加工でも、このドリルストッパーは活躍します。
ストッパーの大きさは、6ミリ、8ミリ、10ミリの3種類があれば十分です。
価格も1個 500円ほどです。
ストッパーをビットの求める位置で止める時のレンチも付属してます。
ドリルストッパーの使い方
1.ドリルストッパーをドリルビットに通す。この際ストッパーのネジがビットのうずまき状のけがき刃と刃の間に入り込むように、付属の六角レンチで仮止めをする
【六角レンチで位置を固定する】
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2.ノギスかメジャーで求める穴の深さを図り、ビットに通したドリルストッパーを所定の箇所で、レンチでネジを締める(画像の場合は、10ミリの深さの座ぐり穴をける場合)
【ドリルストッパーの位置決め】
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3。ドリルビットの先端で、穴あけする位置を確認し、電動ドライバーを垂直になるように固定し、トリガーを押し、真上から押し込むようにしていく。
4.ドリルストッパーの底面が板面にぴったり付くのを確認し、トリガーを離す。
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*ネジ止の座ぐり穴の場合の深さは、それほど正確のものでなくても、構いません。
多様の誤差があっても、穴の中なので、目立ちません。
ただ、このドリルストッパーを付けることで、貫通の恐れはなくなるでので、安心しながら穴あけ作業に集中できます。
【穴の深さをノギスで確認】
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ドリルスタンドを使う
ドリルスタンド加工する板材の上に置き、横から板厚のどの位置までドリルビットを切り込んで行くのかを見て、ストッパーを締める
ボール盤を使う
ボール盤を使って所定の位置までビットが止まるようにする操作は、別の記事「木工初心者に必要な道具ー電動工具」のボール盤の使い方ので具体的に説明しています。
大きな直径の座ぐりをする場合のビット
通常のドリルビットでは、最大でも15ミリぐらいが限界かと思います。
それ以上に大きな座ぐり面が必要なケースとしては、家具の扉の開閉にスライド蝶番を使う場合があります。
【スライド蝶番】
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開け閉めをする扉側の内側にスライド丁番をはめ込んでいきますが、その帳番本体を扉側に板面に落とし込むのに直径35ミリ、深さ11ミリの円形の座ぐりですの加工が必要になります。
【ファスナービット】
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そんな大きな直径の穴開けに使用する場合には、ファスナービットが最適です。
【ファズナービットで開けた座ぐり穴】
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2.貫通する穴あけ
貫通する穴を開ける時の注意点は、下記1点です。
当て木をする場合には、ドリルビットが貫通する瞬間に当て木が動かないよう、部材と当て木を必ずクランプでしっかりと固定して下さい。
【当て木をしない場合】
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【貫通した穴の裏側】
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【当て木をした場合】
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【当て木をした場合との比較】
まとめ
この記事で説明して来た電動ドライバーの穴あけ作業の秘訣は下記3点です。
そして、座ぐりの穴を開ける時には、指定の深さで穴あけをストップさせることです。
特に座ぐりの穴あけの時は、ボール盤かドリルストッパー、またはドリルスタンを使うことをお勧めします。
このように、補助工具を使うことで、同じ加工を何度繰り返してもその結果がいつも一定の正確性で出来ることで、作り上げる作品のレベルはどんどん高まっていきます。
以上