トリマーがあると、釘やネジを使わない加工が出来る!
趣味で木工DIYをしている方の中でも、トリマーを実際に使用している方は少ないと思います。
電動ドライバーに比べれば、実際にトリマーを使っている場面を見た方も少ないのではないいでしょうか?
トリマーは、あまりポピュラーではない電動工具ですが、実はトリマーがあると、釘やネジを使わない接着や溝を掘ったり、表面を様々な縁取りで装飾するような面取りが出来ます。
別の記事で、実際にトリマーで製作した作品は、全てトリマーで加工したものです。
詳細な製作過程を画像を入れながら説明していますので、どんなことが出来るのかのイメージしてもらえたらと思います。
その加工の跡は、まるでプロが仕上げたように見えてしまう魔法のような工具です。
それにトリマーの加工作業は、意外に難易度は高くないものです。
初心者の方でも、様々な装飾的な面取りをするだけなら、何回か練習をすればその日のうちに加工の要領を身に付けることが出来てしまいます。
また、別の記事「トリマーガイドの自作」で紹介したように、直線の溝を掘る作業もその治具を使えば簡単に溝堀りが出来てしまいます。
最終的には、何年も修行を積んだ木工職人のように、ほぞ加工が出来るようになるのも夢ではありません。
トリマーの基本的な使い方は、別の記事「木工トリマーの使い方」で説明しています。
興味のある方は、そちらの記事も併せて参照してみて下さい。
この記事では、トリマーに興味を持っている木工DIYの初心者の方に、トリマー固有の特徴から、トリマーの何処を基準にして選べばいいのかを明確にし、その基準を満たしているベスト3とユニークな機能を持った番外機1台を紹介して行きます。
トリマーを初めて購入しようと考えている方には、きっと参考にして頂けると思います。
トリマーの特徴と難点
まず、トリマーの大きな特徴は、下記2つです。
1.先端に取り付けるビット(刃)を次々に交換する
2・切り込み深さをたびたび変更する
また、トリマーを使うことの最大の難点は、下記2点です。
1.作業音が大きい
2.刃が高速に回転するため、安全に十分注意する必要がある
トリマーの作業音を数値で計測
トリマーの難点の2.のトリマーを安全に使う上での注意点は、上記紹介した他の記事の中でも折りにふれて留意点を紹介していますので、それさえきちんと守って頂けたら解決するものです。
問題は、1の作業音が大きいという点です。
「大きい」と言われても、ピンときませんね?
もう少し客観的なデーターを使って見て行きましょう。
別の記事「木工用電動工具と手工具の比較」の中で、私の使っている電動工具の音を実際に計測した結果があるので、ここで再度そのデータを紹介します。
メーカー | 機種名 | db | |
電動ドライバー | Ryobi | CDD 1010 | 65 |
インパクト ドライバー | BOSCH | PSB10,8 LI-2 | 65 |
丸ノコ | Hitachi | C5uBY | 71 |
トリマー | Ryobi | TRE-55 | 70 |
ジグソー | Ryobi | MJ-300 | 70 |
オービタル サンダー | BOSCH | GSS 230AE/MF | 72 |
ランダムアクション サンダー | BOSCH | GEX 125C/MF | 70 |
集塵機 | Kerv | DC-90R | 62 |
家庭用掃除機 | Hitachi | – | 63 |
*スマホのアプリ「騒音測定器ーSimple Sound」で測定
【dbの参考値】
30db・・郊外の深夜、ささやき声
40db・・図書館
50db・・換気扇、クーラーの室外機
60db・・普通の会話、掃除機
70db・・騒々しい事務所の中、セミの鳴き声(2m)
80db・・地下鉄の車内、ピアノ(1m)
参照先:日本騒音調査ホームページより
家にる掃除機を基準にすると、だいたいの作業音の大きさが想像出来るかと思います。
想像したように電動ドライバーが最も静かで、トリマーを含めそれ以外の電動工具は、それよりも約10dbぐらい大きな音がすると言えます。
私の使用している京セラ(リョービ)の 「TRE-55」は、トリガーのスイッチを入れるとスロースタートする安全設計は付いているものの、モーターの回転数は変えられないので作業時は約30,000/毎分です。
この記事の中で紹介するトリマーは、下記のような悩みを持った方に向けて私のお勧めのトリマーを紹介しています。
・トリマーを買いたいと思っていても、作業音が気になっている方
・頻繁に発生するビットの交換と深さ調整が面倒に感じている方
この記事を読むことで、多くの販売されているトリマーの機種の中から、後悔しないトリマーを選ぶ上で、きっと参考にしてもらえると思います。
トリマーを選ぶ時の5つの基準
トリマーを選ぶ時の本体の動力性能の各メーカーの違いはそれほど差がありません。
それは、トリマーの作りが、モーターの回転をそのまま先端の刃先(ビット)を回転させるというシンプルな構造だからです。
トリマーの大きな特徴は、その回転数が他の電動工具と比較にならないほど高速で回転するところにあります。
それは、トリマーの使い方が、板材に対して上下の深さ方向と同時に前後の動きにも対応しないとならないからです。
どのメーカーの製品も、だいたい回転数が30,000/毎分前後の仕様になっているため、その回転数や消費電力を選択する基準にしても、意味のないものです。
一言で言って、1万円以上の製品で大手のメーカーのものであれば安心です。
もちろん、安いものでも問題なく使えますが、そのモーターの耐用年数や安全面で有効な機能が付いていなかったり、あまりお勧めは出来ません。
特にトリマーの扱いに慣れていない木工DIYの初心者の方には、私の下記5つのトリマーを選ぶ基準のあるものをお勧めします。
1.トリマーの回転数を変更でき、環境に応じて作業音を低減できるもの
2.高速に回転する工具なので、安全面に配慮がされているもの
3.頻繁に交換する先端のビットの付け替えが楽なもの
4.頻繁に行なうビットの深さ調整が楽なもの
5.トリマーは片手で操作するため、女性でも扱いやすい軽いもの
上記の5つのポイントから、私が木工DIYの初心者にお勧めのトリマーのベスト3は、下記のものです。
お勧めのトリマーベスト3とプラスユニークな1台
トリマーのベスト3をお勧めする理由
趣味の木工で、トリマーを20年以上使い続けて来た私の経験から、お勧めする基準の優先順位を付けると下記の順番になります。
優先順位1位
作業音を調整出来るて、作業音を低減出来るもの
優先順位2位
切り込み深さの調整が楽なもの
優先順位3位
・ビット交換が楽なもの
・安全面の配慮がされているもの
ここで取り上げたベスト3と番外機の各基準を一覧にすると下記になります。
メーカー | 型番 | 回転数変更 | 深さ調整機能 | ワンタッチビット交換 | |
1位 | 京セラ | TRE-60V | 可 | 可 | 可 |
2位 | マキタ | RT50DRG | 可 | 無 | 可 |
3位 | BOSCH | PMR500 | 無 | 可 | 可 |
番外 | Hikoki | M6SB | 無 | ▲ | 可 |
*Hikoki M6SBの深さ調整機能は、目盛りではなく、感覚的な操作のため▲
趣味で木工作業をする上で、日本の住宅環境の中で電動工具を使っても作業音を気にしないで出来るような人は、ほとんどいないと思います。
具体的には、1位と2位の京セラ(リョービ)とマキタの製品には、トリマーの回転数を調整出来る機能が付いています。
ここで、この回転数の調整で留意が必要な点は、回転数を低く抑えると、その分トリマーの掘削能力が落ちて行く点です。
ただ、一般的にはホームセンターで入手可能なパイン材や2x4材の柔らかいので、それほど不便を感じることは少ないと思います。
この辺は、何処まで作業音の低減させ、同時に掘削能力や仕上がりを綺麗にするかの狭間で悩む部分です。
ただ、回転数の調整の幅はかなりあるので、それなりに調整は可能です。
1位と2位の差は、京セラ(リョービ)の製品には切り込み深さを調整する機能が付いていいるのに、マキタの製品にはない点です。
ここで、1つ必要な留意点は、この深さ調整機能のダイヤルで調整した後には、画像のように必ずノギスで再度ビットの切り込み深さを確認するようにして下さい。
切り込み深さは、ベースプレートから刃(ビット)の一番突き出た先端部分までです。
【トリマーの切り込み深さの確認】
<クリックで拡大>
一方、マキタのトリマーはバッテリで駆動するので、電源ケーブルがないという点は、トリマーのは作業中に電源ケーブルが気になる工具なので、その点は大きな優位点です。
問題は、バッテリで駆動するマキタのトリマーは、その分、マキタ専用のバッテリーと充電器が必要になるため、持っていないとどうしても価格が割高になってしまうことが最大の難点です。
ただ、他のインパクトドライバー等をマキタ製品を購入していれば、共有出来るため便利です。
その際、本体に取り付けるバッテリ本体は、予備として最低2個は必要になるため、その分バッテリの出費が必要になります。
一方でマキタのものは、ビットが8mm径のものも使用出来ることは、使用出来るビットが増える点は、とてもユニークな特徴です。
3位のBOSCHのトリマーはの唯一の欠点は、回転数の調整が出来ない点です。
他の切り込み深さと調整とビットの交換時にワンタッチで出来る点や、ベースがアルミ製である部分は充分に評価出来ます。
また、この1位から3位までのトリマーは、どれもトリマーの頭部が平面になっているため、逆さまにして置くことが出来ます。
逆さまに置いても電源スイッチの箇所は影響を受けないため、安全面でも、トリマーを扱い慣れていない初心者が、どの機種もを選んでも安全面で配慮がされているため、ベスト3に入れました。
番外のHikoki M6SBは、45度にベースプレートが傾く唯一のトリマーで、45度の掘削が可能です。
一般的なトリマーには、この機能が付いているのを見たことがありません。
ビットの交換がワンタッチで出来る点と深さ調整機能もあるため、ユニークなトリマーとしてベスト3の番外として紹介しておきます。
まとめ
今回紹介したトリマーは、単にネット上にある情報を寄せ集めて紹介するのではなく、実際にトリマーを使っている私が、自信を持ってお勧めするものばかりです。
現在20年以上使用している私のトリマーは、今回ベスト3でお勧めしたトリマーの基準をほとんど満たしていないものです。
当時は、トリマーの回転数を変える機能やビットをワンタッチで交換出きる機能が付いたものなど、ありませんでした。
【リョービ TRE-55】
・回転数は変更不可
・ビットの交換はスパナが2つ必要
・深さ調整機能はなし
・ベース―プレートは傾斜不可
ただ基本性能はきちんとしているので、これからもまだまだ現役で活躍してくれるでしょう。
やはり、20年の月日の中で、電動工具の進歩は驚くばかりです。
お勧めしたベスト3のトリマーは、どれもとても良く出来た製品だと思います。
この記事を読んで、少しでもトリマーに興味を持ち、静かで使い勝手のいいトリマーを手にして頂けたらと思います。
もちろん、安全には充分に留意し、自分の加工の幅をどんどん増やし、素人とは思えないような作品をどんどん作って行かれることを願っています。
以上