木工DIYの精度を決める墨線
あなたの墨線は正確な精度で引かれていますか?
木工DIYの初心者の方で、「中々精度の高い誤差の少ない加工が出来ない」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか?
「よし!これから作るぞ!」
と用意した板材に引いたあなたの墨線は、きちんと精度が高いもので引かれていますか?
その後、墨線に沿って正確な切断が出来ているとしても、引かれた墨線の精度が低いものだったとしたら・・・
最悪、その後の作業は全て無駄な作業になってしまうかもしれません。
切り出した1つの部材に、1mmの誤差があった場合、その誤差が累積してうと誤差は大きくなります。
作った本棚が置こうとした場所に入らない、そんな例を別の記事「 木工 DIy 初心者の基礎|上達する5つのポイント」でも紹介しています。
それだけ正確な墨線を引けるかどうかということは、これから作り上げる木工作品の精度を決定する大切な前提条件です。
一方、墨線を引くことは、木工作業の中で、一番関心が薄い作業ではないでしょう?
「木工の精度を高める最初の一歩は、精度が高い墨線を引くこと」
私はそう考えていますが、多くの他のサイトやYouTubeの動画でも、私のようなやり方をしている人を見たことがありません。
それだけこの記事は、今読んで頂いている方には貴重で有用な情報だと自負しています。
やり方はどんな人でもスケールか差し金を使うことで、誰にでも出来る簡単な方法です。
さらに一般的なスケールではなく、差し金を使うことで、板材の切断面が直角かどうかの確認も出来るので、何らかの寸法の墨線を引き時には、差し金を使うのがベストです。
この記事を読むことで、明日からあなたの墨線の引き方の精度の誤差は、必ず1mm以下になります!
是非、最後までこの記事を読んで頂けたらと思います。
スケールを使った正確な墨線の引き方
このスケールの正確な墨線の引き方は、スケールの端の目盛りが「0」になっていないと出来ません。
プラスティック製の一般的なスケールだと、「0」の目盛りまで数ミリの間隔が開いているものがあります。
木工製作の場合には、そのようなスケールではなく、是非金属性の狂いの少ないスケールの使用ををお勧めします。
また、ストッパー付きのスケールもあるので、同じ寸法を繰り返して使う時にはストッパーがあると、測り直す必要がなくなりとても便利です。
一般的なスケールの使い方は、スケールの”0″の位置を左側にして使用しますが、この方法だと正確な墨線を引くことは出来ません。
何故でしょうか?
この場合のスケールの左側の”0″の位置は正確に押さえらていますが、もっと重要な墨線を引く位置は、右側の目盛りの上から写し取って行く必要があります。
では、自分が求めるスケール上の目盛りを板材に写し取る時に、どうしていますか?
ほとんどの人はグリグリと丸く点を付けたり、スーッと上にフリーハンドで線の目印を書いていませんか?
グリグリと書いた丸は、1mm ぐらいの大きさになっていませんか?
スーッと上に引いた線は目盛から斜めに傾いていませんか?
どちらのやり方でも、ひょっとしたら求める長さに対して1mm 程度の誤差が発生しまう可能性があります。
もっと正確に墨線を引く方法があります。
それは、スケールの向きを逆に向けて長さを求める方法です。
手順をまとめると下記になります。
スケールを使った正確な墨線の引き方
・スケールの“0”の目盛りを右側にして、求める長さを部材の端になるようにスケールを置く
・部材とスケールがきちんと平行になっているか、スケールの上部と部材が面一(ツライチ)になっているか、指の腹で確かめる
・スケールが動かないように押し当てたまま、スケールの右端の“0”の位置に押し付けるようにして縦に目印線を引いていく
具体的な方法を写真で説明していきましょう。
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写真は部材の端から150ミリの位置に墨線を引く例です。
向かって左側に150ミリの位置にスケールが置かれています。
ここではスケールの上部と板材が斜めにならなうように、指の腹で板材とスケールが面一(ツライチ)であることも確認して下さい。
墨線はこのスケールの右端である”0″の位置に押し付けるようにしながら縦に引いて行きます。
これでスケールの端の直角の部分を使い、板材との直角度も確保しながら、斜めにならない墨線の目印線が引けます。
もちろん、鉛筆で墨線を引く場合には、芯を尖らせた状態にしておいてください。
差し金を使った正確な墨線の引き方
差し金で墨線の目印を正確に書く手順は、上の「スケールを使った墨線の引き方」と基本は同じです。
下記の写真は、長さ150mmの位置に墨線を引く例です。
この場合も、差し金を板材の表面に置き、差し金と部材が面一(ツライチ)になっているかどうか、指の腹で確かめて下さい。
ポイントはスケールと同じように、”0″の目盛りは右側に向けます。
そして、差し金の目盛りが150mmの位置が部材の端に来た箇所で止めます。
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スケールの”0″の目盛りの位置が端から150mmなので、そこに差し金の”0″の位置に押し付けるようにして縦に目印線を短く引いて行きます。
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その後は、スケールの使い方で説明したように、木端、または木口面に差し金を当て、この墨線の目印を通過することを確認しながら、下へ墨線を引いて行きます。
この時、墨線を木の表面全てに引かなくても、上下2ヶ所に残る長さの墨線で十分です。
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向かい合う反対側の辺を再度測り直して、墨線を入れる作業は不要です。
差し金の直角の確保が出来ていれば、わざわざ向かい合う反対側の寸法を測る必要はないからです。
別の記事で紹介している自作丸ノコ治具を使う場合には、向かいあう辺の目印線2ヶ所に治具を当てるだけで正確な切断が可能です。
ただ、丸ノコ治具や差し金の扱いに慣れないうちは、切断面になる全てに墨線を引いて、ガイド線にしても結構です。
一発止型定規を使う墨線の引き方
【一発止型定規】
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上記は「一発止型定規」という直角方向に2面を持つ定規です。
この定規を使う場面は、主に上からは見えない、板材の厚み部分にネジ止めをする時に、ネジを打ち込む位置の目安になる墨線を引く時に活躍します。
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写真のように上に乗せた板材を上からネジで止めようとする場合、まず、ネジが貫通する軌跡となる墨線を木口面に引きます。
次にその墨線を上に乗る板材に写して行く時に、この「一発止型定規」の直角面を使います。
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写真のように「一発止型定規」を縦に引いた墨線に合わせて上に乗った板材に墨線を引いて行けば、その墨線は下になる板材の木端面の中央になります。
長さを正確に測るという意味ではありませんが、正確な加工のためには、欠かせない工具の1つと言えます。
もちろん、墨線ではなく、スコヤのように直角の確認にも使用出来ます。
別の記事「木工初心者に必要な工具|手工具」の中で、さらに詳細な「一発止型定規」の使い方を紹介しています。
また、別の記事「電動ドライバーのネジ締め作業」で電動ドライバーを使ったネジ止め作業の中でも出てきますので、そちらも御覧になってみて下さい。
精度の誤差を逃がす設計が重要
上記のように、仮に正確な精度の墨線を書く秘訣を習得出来たとしても、その後の切断、各種の加工、仕上げまでを1mmの誤差もなく行なうことは、素人である私達にはかなり難しい作業です。
別の記事「木工 DIy 初心者の基礎|上達する5つのポイント」でお話した中で、下記のように2つの引き出しを設計した場合の例があります。
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上図は、四角い空間の中にぴったり納まる引き出しです。
下図は、手前にある引き出しの板面が引き出しが収まる箇所をすっぽりと覆うものです。
どちらの加工が難易度が高いのか?
難易度がとても高い方は、上図のように設計された引き出しです。
何故なら、四角い引き出しの空間の中に、引き出し部分も手前の持ち手のある正面の板材も、全てその空間の中にぴったり納まらないとならないからです。
しかも、引き出しを押し込んだ位置で、持ち手のある板材も面一(ツライチ)で止まる必要があります。
下図の引き出しの設計では、引き出し部分さえ収まれば、手前の引き出し部分や奥行きの寸法に多少の誤差があっても、それほど問題にはなりません。
奥行に多少の誤差の空間が出来ていても、持ち手の板が当たる箇所で止まります。
この2つの設計は、誤差が許されない設計と誤差が発生しても、誤差を逃がせる設計にしてある2つの例です。
精度の高い木工は、めざすべき方向です。
でも、趣味でする木工では、同時に誤差が多少あっても、逃げ場のある設計をしておくことは、それなりに出来ばえのいい作品を作る秘訣だとも思います。
そのことも、墨線を引く前の行程である設計の段階で、頭の隅に置いておいて下さい。
まとめ
如何だったでしょうか?
この誤差を限りなく少なくする墨線の引き方が参考になりましたか?
DIY初心者の方でも難しいテクニックではなく、ちょっとした秘訣です。
あとはこの秘訣を知っただけではなく、実際に試してみて下さい。
木工DIYで精度の高い墨線が引くことは、あなたのの作品を効率よく、出来ばえのいい作品にする「最初の一歩」です。
次の工程は、正確な切断をする作業です。
正確な切断をする秘訣は、手工具では、「のこぎりの使い方のコツ」で、電動工具では、「丸ノコの使い方」と「自作丸ノコガイド」「ジグソーの使い方」で説明しています。
そちらの記事も併せて参考にして下さい。
以上